研究課題/領域番号 |
20H01494
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
文 世一 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40192736)
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研究分担者 |
河野 達仁 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00344713)
西山 慶彦 京都大学, 経済研究所, 教授 (30283378)
伊藤 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30516000)
松島 格也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60303848)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 公共交通 / 交通経済学 / 都市経済学 / 土地利用 |
研究実績の概要 |
公共交通システムの設計が都市構造に及ぼす影響を説明可能な理論モデルを構築した。 都市経済学の土地利用モデルにおける交通費関数に、公共交通システムの設計変数(駅の間隔、路線長、運行頻度、運賃など)を組み込んでおり、交通費は、居住地から駅までの(徒歩による)アクセス費用、駅における待ち時間費用、そして乗車費用(運賃、乗車時間)の和として定義される。設計変数である駅の間隔を小さくすればアクセス費用が節約される。路線長を長くすれば交通機関の利用可能性を拡大する。このような設計変数に依存する交通費の変化が家計や企業の立地選択に影響を与え土地利用を変化させるメカニズムを定式化した。利用者が鉄道駅のような限られたアクセスポイントを通じてのみ乗降可能であるという、公共交通特有の費用構造を明示的に考慮した点が、このモデルの特徴である。 理論モデルを用いて、設計変数の変化が都市構造と経済厚生に及ぼす影響について比較静学分析を行った。続いて交通システム整備の代替的方式について、設計変数を内生的に求める問題を設定し、都市構造や経済厚生に及ぼす影響を分析した。代替的方式としては、鉄道会社のような企業による交通システム整備と公共部門による整備を検討した。前者は利潤最大化、後者は社会厚生最大化を目的とする。 分析の結果、駅間隔の減少は、周辺地域の人口密度を増加させ、都市のコンパクト化を促進すること、一方、路線の延伸は市街地の拡大をもたらすことがわかった。また、利潤最大化をめざす鉄道会社が選択する駅間隔は、社会厚生最大化に比べて長いという結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、国際研究集会に出席し、その機会に海外の研究者と意見交換を行う予定であったが、会議が中止となり、若干の遅れが生じた。そのため、研究費の繰越を行った。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って推進する。国内外の研究集会での報告と論文の執筆・投稿に努める。
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