研究課題/領域番号 |
20H01530
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 倫紀 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (20373110)
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研究分担者 |
井口 知栄 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20411209)
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
笠原 民子 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (40523189)
戎谷 梓 法政大学, 経営学部, 講師 (90709867)
Liu Ting 京都大学, 経営管理研究部, 講師 (00843450)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際経営 / 多国籍企業 / 人的資源管理 / ブリッジ機能 |
研究実績の概要 |
研究初年度であった令和2年度は、組織レベル、部門・チームレベル、個人レベルにおいて多国籍企業のブリッジ機能に関する理論的・実証的研究を推進し、以下のような成果を出した。まず、東北地域の中小企業を対象に行ってきた調査をもとに、日本と海外のブリッジ機能を担う可能性のある外国人人材が中小企業の国際化にどのように貢献するのかを論文にまとめ学術雑誌に掲載した。また、グローバル人材として近年注目を集めている自発的駐在員に関する研究を進め、論文を学術誌に投稿した。多国籍企業の中で有効な知識移転の役割と果たすとされる逆駐在員に関する研究を国際ビジネスのトップジャーナルに投稿し、改訂後再査読の評価を得た。多国籍企業の本社と海外子会社をブリッジする機能に関する研究として、日系企業のタイ現地法人における本社とのブリッジ機能の役割と現地法人でのローカル社員のマネジメントについての研究、および欧州地域の日系企業で働くブリッジ人材に関する詳細な調査に基づく研究を推進し、これらの論文を国際学会に投稿した。その結果、これら2つの論文が、それぞれ、最優秀論文賞および最優秀論文候補に選出された。チームレベルの研究としては、多国籍企業のバーチャルチームにおいて言語面・感情面・機能面での橋渡しを行うブリッジ人材を対象とした研究を推進し、中間成果を国際学会で発表するとともに、雑誌投稿の準備を行った。組織レベルの研究については、在デンマークの日本企業とのJV企業へのインタビュー調査に基づいた報告書を作成した。また、在日多国籍企業に対して行ったアンケート表を用いたデータによりイノベーション活動と子会社のケイパビリティについて分析をした。さらに、日系企業の海外子会社の競争力に関する研究論文を雑誌に投稿し、掲載可の決定を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症拡大の影響により、計画していた研究活動のうち、現地に赴くことで実施するフィールドスタディや国内外の学会出張、海外からの著名な研究者を招いた研究会の開催による情報収集や意見交換といった機会をあまり得ることができなかったが、その他の研究推進については、文献研究による理論構築作業、オンラインでのアンケート調査の実施によるデータ収集、これまで収集したデータの分析、論文化とジャーナル投稿・掲載など、順調に研究を推進し、成果を生み出している。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる令和3年度は、令和2年度の成果を踏まえ、文献研究を通じた理論構築作業の推進と、組織レベル、部門・チームレベル、個人レベルにおける多国籍企業のブリッジ機能に関する実証的研究を推進する。令和2年度に新型コロナ感染症拡大の影響により実施できなかったフィールドスタディの実施や、国内外学会出張・研究会開催などを通じた情報収集や意見交換などについては、新型コロナ感染症の状況を見ながら、調査の開始が可能になり次第、実施を進めていく。依然として実施が困難な状況が継続する場合には、次善の策として、オンラインを通じたアンケート調査やオンラインでのインタビュー調査によるデータ収集を中心とする実証調査を行いつつ、オンラインを通じた研究会開催などを通じた情報収集や意見交換の機会を作る。理論構築作業については、中間成果を順次論文や報告書にまとめ、国内外学会や実務誌などで発表していくとともに、学術的な成果については、論文にまとめ、国内外の学会での発表および各分野トップの国際ジャーナルへの投稿を優先させる。研究の最終年度となる令和4年度は、引き続き理論構築作業と実証研究を進める傍ら、各種研究成果を国内外の学会で発表するとともに、国際ビジネスおよび経営学分野における海外のトップジャーナルへの掲載を目標に論文の投稿や改訂・再投稿を進めていく。また、ブリッジ機能の理解を軸に展開する新・多国籍企業論に関する研究成果の書籍化などの成果発信を始める。
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