研究実績の概要 |
令和2年度は、地場産業集積地に立地する中小ファミリービジネスの企業家活動と地域創生での役割に関する調査研究のため、経営学の企業家論、ビジネスシステム論、ファミリービジネスの社会情緒的資産(socioemotional wealth:以下SEW)理論の主要な先行研究を基盤として分析枠組みの確立に努めた。SEWについては、Administrative Science Quarterly, Family Business Review, Academy of Management Annals, Entrepreneurship Theory & Practiceに掲載された、Gometz-Mejia, L.R.を中心とした研究グループとMiller, D. and I. L. Breton-Millerとの研究成果を中心にレビューし、国内の先駆的研究である山田幸三・尹大栄・山本聡・落合康裕・戸前壽夫『ファミリーアントレプレナーシップ』2020年を基本文献としてオンラインでの個別意見交換を実施し、それを基に全員がオンライン上で議論する研究会を2020年4月13日、6月1日、7月30日、9月14日、11月6日、12月21日、2021年3月8日に開催した。研究会では、先行事例として大和川酒造店、米吾、スマートバリューの3社の事例を取り上げ、100年以上の歴史を持つ老舗企業の新事業への取り組みや三代目社長による創業期からの事業構成の大転換の事例について分析し、ディスカッションペーパー「社会情緒的資産概念によるファミリーアントレプレナーシップ分析の課題」Discussion Paper Series, Economic Research Society of Sophia University, ERSS J20-1, 2021年として取り纏めた。
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