研究実績の概要 |
令和3年度は、前年度から続くコロナ禍による様々な制限のため、研究者間で分担して進めてきた地場産業の集積地に立地する中小ファミリービジネスの企業家活動と地域創生を分析するための枠組みについて、ウィズ・コロナ社会におけるファミリービジネスの役割にかかわる視点を包含して精緻化した。ファミリービジネスの社会情緒的資産(socioemotional wealth:以下SEW)理論の主要な先行研究については、前年度の文献に加えてAcademy of Management Review, Journal of International Business Studiesなどに掲載された、Gometz-Mejia, L.R.の概念モデル(Gomez-Mejia, et al, 2007:2011)、Berrone, et al(2012)のFIBERモデル、Miller, D. and I. L. Breton-Miller(2014)の限定的 SEW と拡張的 SEWに関する研究に関してMiller, et al(2009)、Murphy, et al(2019)、Rau, et al(2019)などの批判的な研究を中心にレビューした。オンラインでの研究打ち合わせ会を2021年5月27日、7月17日、9月1日、9月7日、12月22日、2022年1月24日、3月1日に開催した。対面での研究会、研究打ち合わせを2021年7月9日、2022年3月17日に実施してディスカッションペーパーの内容を深化させた。これらの研究成果とデータベースを活用した議論をもとに、企業家論とビジネスシステム論の視点と、ファミリービジネスの戦略的社会性、産地の不文律とステークホルダーマネジメントの論点を包含した内容について学会報告を行い、学術論文に取り纏めた。中小ファミリービジネスへのインタビュー調査は、令和4年度に長野県の企業9社、大阪府の企業1社の計10社について実施した。
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