研究課題/領域番号 |
20H01553
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
渡辺 達朗 専修大学, 商学部, 教授 (20242448)
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研究分担者 |
新島 裕基 専修大学, 商学部, 准教授 (00823999)
濱 満久 名古屋学院大学, 商学部, 教授 (10440653)
石淵 順也 関西学院大学, 商学部, 教授 (20309884)
角谷 嘉則 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (20519582)
高室 裕史 甲南大学, 経営学部, 教授 (30368592)
渡邉 孝一郎 香川大学, 経済学部, 准教授 (60616671)
松田 温郎 西南学院大学, 商学部, 教授 (60632693)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域商店街活性化法 / まちづくり / 商店街 / 多様性 / コミュニティ対応力 / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
本研究では、商店街の業種・業態等の多様性、および高齢者や子育て世代の包摂といったコミュニティ対応力に注目し、それらが商店街の持続可能性にどのように影響しているかについて、定性的・定量的に分析することを目的とした。これは、「商店街が地域コミュニティの担い手」という考え方を掲げる地域商店街活性化法が、実際にどのような政策効果を有したかを評価することを根本的な問題意識とするものであった。令和3年度はコロナ禍の影響から、商店街やそれが連携しているコミュニティ施設等の訪問によるインタビュー調査が困難な状況が続いたが、令和4年度の秋以降、訪問調査を再開することができた。 具体的な成果としては、以下があげられる。 (1)研究の定性的側面については、法制定直後の2009年度と2010年度に認定を受けた45件と、2011年度以降に認定を受け活性化に取り組んでいる商店街、認定を受けないまま活性化に取り組んでいる商店街の3分類について、多様性とコミュニティ対応力が持続可能性等にどのように影響したかについてデスクリサーチにより比較検討した。 (2)以上の3類型について訪問調査を行った結果、認定の時期が商店街の多様性やコミユニティ対応力に影響を与えたという明確な証拠は見出せなかった。むしろ同法の認定を受けていない商店街でコミュニティ対応力の向上に意識的に取り組むところも目立った。 (3)研究の定量的側面については、現地訪問調査に基づき、分析枠組みの検討と現在の構成店舗の業種・業態等を映像撮影と文献資料等で把握するとともに、立地・競争環境について地図情報システムを活用した試論的な実証研究を行った。 以上に基づいて、政策効果分析の枠組みを試論的に構築するとともに、商業政策として有効な商店街支援策のあり方について考察し、関係する学会の研究大会等での報告、学術雑誌・紀要等への投稿・論文公開を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の前半は、令和3年度に続いて、コロナ禍の影響から、研究実施計画のうち地域商店街活性化法の認定商店街に対する対面での訪問インタビューの実施件数が予定に達しなかったが、後半になって、訪問先の理解を得ながら、積極的に訪問調査を実施することができた。 訪問調査が少なくなった分、商店街やまちづくり会社等のホームページやSNS等による情報発信内容を中心に、過去に遡って活動状況を把握するととも、地図情報システムに基づく分析の方法について検討を開始し、令和5年度に本格的に定量的な分析を実施できるよう準備を行った。 現在、研究計画の若干の遅れを指摘せざるを得ないが、以上の取り組みより、十分遅れを取り返し、当初の研究成果をあげることができると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、これまで積み残していた調査先を含めて、予定していた訪問調査を実施できる見込みであることから、以下について研究スピードを上げながら推進する。 (1)初年度からの継続課題として、地域商店街活性化法の認定商店街の全数を対象に、活性化の取り組み経緯や現状、展望をデスクリサーチによって整理することを通じて、多様性とコミュニティ対応力、持続可能性等に関する定量的評価方法を検討し、政策効果検証の理論的分析枠組みの構築をめざす。 (2)法制定直後に認定を受けた商店街、その後に認定を受けた商店街、認定を受けずに活性化に取り組む商店街に3分類し、これまで訪問調査を実施できていなかった対象について、訪問インタビュー調査を実施し多様性とコミュニティ対応力、持続可能性、政策効果などに関する定性的な検討、テキストマイニングなどの手法を活用した定量的な分析を実施する。 (3)定性的な研究と並行して、調査対象商店街について、現在の構成店舗の業種・業態等を映像撮影と文献資料等によって定量的に把握する一方、立地・競争環境について地図情報システムを活用して分析・把握することによって、これまで検討してきた枠組みに基づいて実証研究を行う。 以上について、学会での研究報告、学術誌・紀要等への論文投稿を積極的に行うことで研究成果の公表を行い、学術界・実務界からの反響を踏まえて研究内容の改善を図る。
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