研究課題/領域番号 |
20H01569
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
平井 晶子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30464259)
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研究分担者 |
廣嶋 清志 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (20284010)
中島 満大 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (70774438)
小林 准士 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (80294354)
小池 司朗 国立社会保障・人口問題研究所, 人口構造研究部, 部長 (80415827)
丸山 洋平 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (60758647)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家族 / 人口 / 地域性 / ライフコース |
研究実績の概要 |
本研究は、この四半世紀に形成された近世日本の家族人口構造の地域類型論(東北日本型、中央日本型、西南日本型の三類型論)に、空白地域のモノグラフと面的研究を加え、新たな地域類型論を打ち立てることである。そのために本研究では(1)徳川家族のモノグラフ研究、(2)近代の地域横断データ分析、(3)近世の地域横断分析を中心に研究を進める計画を立てた。 初年度となる本年度の(1)モノグラフ研究については、地域論の空白地域である島根県矢上村の資料整備・読解・データベース化を本格的に開始した。矢上村は人口規模が大きく資料残存年も長くモノグラフ研究に最適な資料である。今年度は資料のデータ化を完了し、読解についても計画通り進んでいる。単年度分ではあるがデータ入力も行い、基礎的分析に着手することができた。また西南海村の高浜村についても資料検討およびデータクリーニングを進め、分析のための基盤整備をおこなった。(2)地域横断分析については戦後における市町村単位の研究を展開することができた。市町村合併による差を踏まえながら、時系列で「面的」データを扱う手法についても検討を進めた。(3)17世紀の面的特徴の把握については世帯分析の試論をおこなうことができた。 本研究では、日本の地域性を考えるには市町村レベルの面的把握が重要と考えている。他方、日本をこえてアジアのなかで日本の地域性を位置づけることが重要とも考えている。家族人口構造を生み出す社会構造の重層性を念頭にアジアのなかの日本を位置づける研究が展開できたことは大きな進展であったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進めるための基礎となる資料整理・データベース化が順調に進んでいること、モノグラフの考察に当たり、さらなる資料検討の必要性が出てきた地域もあるが、新たな課題である資料検討をおこなうことがモノグラフ作成の基盤になっていることを考えると、新たな課題も踏まえて研究は順調に進んでいると考えられる。 地域横断分析については、時代により市町村合併の影響のため地域区分が変更となっている。その対応に苦慮してきたが、あらたな地図ソフトを応用することで対応できる見通しがついた。そのため、面的研究を時間軸でつなげる研究も概ね予定どおり進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画に挙げた3点、(1)徳川家族のモノグラフ研究、(2)近代の地域横断データ分析、(3)近世の地域横断分析を軸に、資料整理、データベースの構築、個別の分析を進める。そのうえで、今年度はとくに研究の連携・連動に力を入れたい。個々のモノグラフ研究(1)と面的研究(2)(3)の突き合わせを綿密におこない、個々のモノグラフの地域における特性を明らかにするとともに、時代の変化に関しても、モノグラフと面的変化を連動させることを強く意識しながら研究を進める計画である。また面的広がりの延長にアジアを想起しながら、家族人口構造の重層性を踏まえて検討をおこなう。
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