研究課題/領域番号 |
20H01589
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
蘭 由岐子 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (50268827)
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研究分担者 |
廣川 和花 専修大学, 文学部, 教授 (10513096)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
西尾 雄志 近畿大学, 総合社会学部, 教授 (30434335)
松岡 弘之 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (30877808)
桑畑 洋一郎 山口大学, 人文学部, 准教授 (50532686)
田中 キャサリン 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (50740049)
坂田 勝彦 群馬大学, 情報学部, 教授 (60582012)
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハンセン病 / 戦前と戦後 / 歴史 / 多声的記述 |
研究実績の概要 |
今年度は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置の若干の緩和によって、研究活動が促進された。 5月には、対面開催された日本保健医療社会学会大会にてシンポジウム「ウィズコロナをどう生きるか―感染症のスティグマを乗り越える」が開催され、その企画を山田富秋が担当し、廣川和花がパネルリストとして登壇した。8月には対面およびオンラインのハイブリッド方式で夏の定例研究合宿を開催した。ハンセン病のスティグマに抗する方式 として宮古島におけるピアによる病者支援のあり方があったことがあきらかにされ、また、ハンセン病と家族についての報告がなされた。9月には複数メンバーが国立療養所菊池恵楓園の歴史資料館を訪問し、研究代表者はリデル・ライト両女史記念館において企画展「日時計と句集「日時計」展」を見学。また、ひとりの退所者の日頃の活動に同道し、その様子を参与観察した。そこでは彼自身の活動における能力・人柄そのものが評価され、ハンセン病であったことは後景に退き、なんら問題となっていなかった。 2月には、春の定例研究合宿を夏同様ハイブリッド方式で開催し、1950~60年代における全患協運動に関する研究、国立療養所長島愛生園における保育所の研究、戦中から戦後にかけて在宅療養しその後療養所に入所した病者の生活史に関する研究などについて検討した。また、本科研の最終年度およびその後の研究展開について協議した。 なお、国立ハンセン病資料館および国立長島愛生園歴史館等における資料収集は年間を通して実施された。 ここ数年の新型コロナ感染症のまん延状況はフィールドワークなどの研究活動の実施を阻害した一方で、「隔離」と「療養」という2つの用語が日常的に使用される稀有な状況を生み出し、あらためて日本のハンセン病の歴史を解読するためのヒントを与えてくれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスまん延の影響による国立療養所構内への立ち入り制限、研究者の他県への出張制限、さらには、調査対象者である療養所入所者の高齢化による認知症発症などによって、外部から訪問しての聞き取り調査実施が非常に困難になっているためオーラル資料の収集はできていないが、それ以外の文書資料や過去に収集した語りを用いた研究がより進展ししたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いが変更されることで、これまでより国立療養所等の現地調査がしやすくなると思われるので、できるかぎり調査活動を促進させたい。とはいえ、対面で長時間におよぶ聞き取りを病者に行うことは許可されない可能性が高いので、それにかわる手記の分析やその他資料分析による成果発表・執筆をめざす。 国立療養所長島愛生園歴史館は、コロナ禍下においても継続的に開館し、資料提供をおこなっているので、より頻回に訪問する。また、同様に、国立ハンセン病資料館にもより頻回に訪問する。
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