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2022 年度 実績報告書

非認知症高齢精神障害者の在宅生活を支える福祉と医療の連携モデル開発と有効性の検証

研究課題

研究課題/領域番号 20H01596
研究機関大阪公立大学

研究代表者

大西 次郎  大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20388797)

研究分担者 岡田 進一  大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20291601)
坂下 玲子  兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード多職種連携 / 協働 / 精神保健福祉 / メンタルヘルスソーシャルワーク / 医療ソーシャルワーク
研究実績の概要

非認知症高齢精神障害者に向けた福祉と医療の連携研究へ臨み, 2022年度はここまでに得られた認知症者および非認知症高齢精神障害者の別をわきまえた連携面の現況と課題より, 非認知症高齢精神障害者の在宅生活支援に現れやすい問いを抽出した. その結果, 以下を導いた.
理論面における学際性と, 実践面における地域での役割開放は, いまやメンタルヘルスケアの主潮である (地域ケアリング 25(3), 90-94). まず, 医療機関で認知症者と向き合う段階において, 福祉職は支援の至らなさを覚えつつも霧散させる「とまどい」を抱く (保健医療社会福祉研究 30, 65-75). こうした感情を在宅下の多職種連携の深化につなげる手段として, 福祉職-医療職共通の質が担保された研修プログラムの活用があげられる (日本認知症ケア学会誌 21(4), 564-575).
次いで非認知症高齢精神障害者に関し, かねての統合失調症における医療機関との連携 (社会事業史学会創立50周年記念論文集 第2巻, 427-457) とともに, 近年は触法高齢者の増加に伴う刑事司法との連携 (ソーシャルワーカー 21, 45-58) が地域ケア上のテーマとなり, 職能団体による教育面の関与が望まれる. また, 在宅場面における上世代への介護の視点 (精神科治療学 37(4), 427-434, 地域ケアリング 24(4), 56-61) とならび, 下世代への養護の視点 (地域ケアリング 24(10), 98-104) が家族機能の安定に結び付く.
昨年度からの発展的論点である, オンライン型と対面型の研究方法上の異同 (地域ケアリング 24(11), 102-107) にもふれ, さらに多職種連携が実践のみならず, 社会政策や国家資格制度から築かれる「政策を通した連携」の検討の必要性を提起した (地域ケアリング 25(1), 72-79).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績で概要を示した成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね沿って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の3年目として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.

今後の研究の推進方策

申請時の計画に沿って, 研究の拡充を目指すことが原則である. 加えて, 発展的な論点としてのオンライン型と対面型の研究方法上の異同, ならびに「実践を通した連携」と「政策を通した連携」のかかわりについても論考を深めていく.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 家族のメンタルヘルスを通した健康相談活動と精神保健福祉の出会い ―子供から親への目線・親から子供への目線―2023

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 25(3) ページ: 90-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ホワイトボード機能を用いた認知症ライフサポート研修のオンライン化 ―対面型の従来研修経験者に対する試行から―2023

    • 著者名/発表者名
      森岡朋子,大西次郎
    • 雑誌名

      日本認知症ケア学会誌

      巻: 21(4) ページ: 564-575

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ソーシャルワーカーによるソーシャルワーク機能「普及」の意義 ―実践を通した連携・政策を通した連携―2023

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 25(1) ページ: 72-79

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 社会福祉士新カリキュラムにおける刑事司法の拡充からみた福祉の独立性 ―ソーシャルワーク教育・社会福祉教育の曲がり角―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      ソーシャルワーカー

      巻: 21 ページ: 45-58

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] オンライン型と対面型インタビューの質的調査における実施(選択 / 併用)の概況 ―コロナ禍以降の『社会学評論』『社会福祉学』誌をもとに―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24(11) ページ: 102-107

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 歴史を踏まえた,学際による養護学(広義)の構築 ―養護機能における連携・協働と役割開放―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24(10) ページ: 98-104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フラストレーション理論(ローゼンツァイク) ―アグレッションの方向からみた看取りにおける適応的反応―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 37(4) ページ: 427-434

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 医療ソーシャルワーカーが業務のなかで霧散させる感情としての「とまどい」に着目する臨床的有用性 ―認知症高齢患者の家族支援を手掛かりに―2022

    • 著者名/発表者名
      本岡 悟,大西次郎
    • 雑誌名

      保健医療社会福祉研究

      巻: 30 ページ: 65-75

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 特養の看取り介護における経時的フラストレーション反応 ―良い実践にも,そこに至る過程がある―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 24(4) ページ: 56-61

    • 査読あり
  • [学会発表] 「精神保健福祉」通史研究の試み ―精神科領域単独の国家資格化を経た,現代のソーシャルワーク回帰と地域での役割開放―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 学会等名
      日本精神保健福祉学会 第10回学術研究集会
  • [学会発表] 社会福祉学は質的調査のオンライン化をどう受け入れるか,その普及を前に整理する2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎
    • 学会等名
      日本社会福祉学会 第70回秋季大会【特定課題セッションⅡ】(課題テーマおよび趣旨全文の公開のみ)
  • [図書] 「精神保健福祉」通史 ―精神科領域単独の国家資格化を経た,現代におけるソーシャルワーク回帰と地域での役割開放―2022

    • 著者名/発表者名
      大西次郎/社会事業史学会創立50周年記念論文集刊行委員会・編
    • 総ページ数
      31
    • 出版者
      近現代資料刊行会/第2巻,Ⅳ.福祉対象の把握と支援の視座
    • ISBN
      9784863645752

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公開日: 2023-12-25  

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