研究課題/領域番号 |
20H01604
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
丹波 史紀 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70353068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 原子力災害 / 生活再建 / 災害関連死 / 災害ケースマネージメント |
研究実績の概要 |
本研究は、2011年の東日本大震災および原子力災害から10年という節目に、これまでの研究成果をふまえ、原子力災害による被災者の生活再建に関する大規模調査を実施し、被災者の生活再建と地域の復興を評価する。申請者は、原発立地周辺自治体である福島県双葉郡の自治体に住んでいた約25,000世帯を対象に、2011年9月、2017年2月と2回にわたり大規模な悉皆調査を行った。本研究で3回目の大規模調査を実施する。 一方、災害による被害は発災直後の直接的要因に限らず、「震災関連死」などの二次的被害や生活再建において様々な課題を東日本大震災は投げかけた。緊急避難期から復興期を見すえた包括的な支援が必要とされているにも関わらず、これをマネジメントする専門職の制度的な位置づけがなされていない。 本研究は、(1)第3回目の大規模調査によって中長期における被災者の生活再建場の課題を明らかにし、(2)「震災関連死」などの二次的被害の検証、(3)さらに災害時における被災者の生活再建に必要な包括的な「災害ケースマネジメント」体制に向けた提言を行う。そのために、2021年度に原発立地周辺自治体の住民を対象にした第3回目の大規模調査を実施する。こうした調査研究をふまえ、緊急避難期から復興期を見すえた包括的な支援をマネジメントする災害ケースマネジメントの確立にむけた提言を行うことをねらいとしている。 2021年度は、前年度延期した第3回双葉郡住民実態調査を実施(2021年12月)した。約8000ケースの回収を行い、ローデータの入力作業を進めた。なお、調査にあたっては、学内の研究倫理についての所定の手続きを経て、対象自治体の協力の下、調査対象者の同意と個人情報保護を遵守し実施した。 調査では、震災から10年を経過しても生活再建の課題が継続していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度延期した調査を、本年度実施することができた。 回収も概ね順調に進み、回収・集計の大半を本年度に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
残りの集計分の入力作業を進めるとともに、ローデータに基づいた調査結果の取りまとめ、解析等を行っていく。また、調査結果の概要については、調査対象者に周知・提供するとともに、対象自治体へ報告する予定である。さらに調査結果の社会的公表もすすめる。
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