本研究は、2011年の東日本大震災および原子力災害から10年という節目に、原子力災害における被災者の生活再建と地域の復興に関する研究である。 そのために、2021年度に原発立地周辺自治体の住民を対象にした第3回目の大規模調査を実施した。その結果、長期避難を余儀なくされた被災者の生活再建上の課題が確認できた。具体的には、(1)被災者のうち、生産年齢人口の約3割が今も無職のままであったこと、(2)長期にわたりリスクにさらされた結果、精神的健康度も全国平均を下回っていたこと、(3)長期避難の結果、避難先で住宅再建をし、定着を進んだ者が多いこと、などが明らかになった。
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