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2022 年度 実績報告書

障害者就労制度の日独英比較――法学と経済学の学際的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20H01608
研究機関岡山理科大学

研究代表者

川島 聡  岡山理科大学, 経営学部, 教授 (60447620)

研究分担者 松井 彰彦  東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30272165)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード就労継続支援A型事業所 / 障害者権利条約 / 障害者差別解消法 / 障害者虐待防止法 / 不当な差別的取扱い / 合理的配慮 / 障害の概念
研究実績の概要

日本の障害者就労制度の全体的構造を明らかにしようとする本研究に資する研究成果として特に以下が挙げられる。
まず、日独英のいずれも批准している障害者権利条約における障害のモデルや、法的能力規定、自律及び包摂の概念などは、本研究にとってきわめて重要となるが、これと関連する研究成果として、「障害者権利条約12条と第1回対日審査」『実践成年後見』103号(2023年)、「人権モデルと社会モデル―日本の条約義務履行への視座」『賃金と社会保障』1817・1818号(2023年)、「障害者権利委員会の日本への総括所見を受けて―社会モデルと人権モデルを活用し、選びたくなる一般制度をつくる」『さぽーと』70巻1号(2023年)が挙げられる。
また、最後に掲げた拙稿は、障害者就労制度を含む障害者制度にとって基本的な問題となる、「自律(選択)と包摂との相克」を論じている。これは、障害者が「分離した特別制度」(福祉的就労)を選択することにより、障害者の一般制度(一般就労)への包摂が進まないという問題である。国連障害者権利員会は対日総括所見で福祉的就労から一般的就労への移行の迅速化を勧告しているが、この勧告の趣旨と内容を明らかにするためには、「自律(選択)と包摂との相克」という問題状況を分析した上で、その相克の解消方法を検討することが必要となる。一般には、当事者が選択したくなる一般制度を構築することが、総括所見の勧告が求めていることである、と言えよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

経済学と法学の学際的アプローチを用いることにより、日本の障害者就労制度の全体的構造及び課題はどのように見えるのであり、どのような政策的処方箋が描けるか、を明らかにするという課題の下で、上記のとおり、障害者就労制度における「自律(選択)と包摂との相克」という重要な論点を検討したことにより、障害者就労制度の全体的構造の解明により一層近づくことができた。
分担研究者の松井彰彦教授とともに『障害者の自立と制度』と題する書籍を出版する予定であり、その中では、「自律(選択)と包摂との相克」という論点を経済学と法学の観点から分析・検討している。本書の原稿は、2023年2月末に出版社に提出し、現在初校をしている段階である。
2023年中には初校と再校を終えて、2023年度末までには出版予定である。本書は、経済学と法学のアプローチから障害者就労制度を含む障害者制度を包括的に検討するものであり、科研費の本研究の目的実現に大いに資する。

今後の研究の推進方策

上記のとおり、『障害者の自立と制度』を2023年度末までに出版することを予定している。また、英独の障害者就労制度の分析を進める予定であるが、これまではコロナ禍もあって、英独に訪れてインタビュー調査をする機会が得られず、もし2023年度も難しい場合には、文献調査などを中心にして本研究の目的を遂行したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 障害者権利条約12条と第1回対日審査2023

    • 著者名/発表者名
      川島聡
    • 雑誌名

      実践成年後見

      巻: 103 ページ: 30, 39

  • [雑誌論文] 人権モデルと社会モデル―日本の条約義務履行への視座2023

    • 著者名/発表者名
      川島聡
    • 雑誌名

      賃金と社会保障

      巻: 1817・1818 ページ: 72, 80

  • [雑誌論文] 障害者権利委員会の日本への総括所見を受けて―社会モデルと人権モデルを活用し、選びたくなる一般制度をつくる2023

    • 著者名/発表者名
      川島聡
    • 雑誌名

      さぽーと

      巻: 70(1) ページ: 40, 45

  • [学会発表] アダプテッド体育・スポーツと「合理的配慮」の関係性2022

    • 著者名/発表者名
      川島聡
    • 学会等名
      日本アダプテッド体育・スポーツ学会第27回研究大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 障害者権利委員会の条約解釈―差別の場合2022

    • 著者名/発表者名
      川島聡
    • 学会等名
      第7回日本障害法学会研究大会
    • 招待講演
  • [図書] 『権利擁護を支える法制度/刑事司法と福祉(社会福祉学習双書2023第13巻)』(分担執筆、範囲:「虐待防止法」「障害者差別解消法」「意思決定支援ガイドライン」(第2部第2章第4節~第6節))2023

    • 著者名/発表者名
      『社会福祉学習双書』編集委員会
    • 総ページ数
      340
    • 出版者
      全国社会福祉協議会
    • ISBN
      9784793514210

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公開日: 2023-12-25  

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