甲殻類に対するアレルギーを示す患者血清を約40名収集するとともに、患者血清に対する甲殻類への特異的IgE抗体価測定と問診により臨床データを整備した。収集した患者血清中の精製アレルゲンに対する特異的なIgE抗体と、甲殻類アレルギーの臨床像を解析するために、tropomyosin、arginine kinase、myosin light chain 2、sarcoplasmic calcium binding protein、troponin C、ヘモシアニンなどの主要なアレルゲンについて調製した。精製した各アレルゲンに対する特異的IgE抗体価を測定し、主要なアレルゲンの中でtropomyosin、arginine kinaseに対する感作率が他のアレルゲンと比較して高い傾向であることが示された。一方、アレルゲンの高次構造がIgE抗体との結合に影響する可能性があることを考慮し、ピキア酵母の発現系を用いて、sarcoplasmic calcium binding proteinを調製した。さらに、調製したsarcoplasmic calcium binding proteinをビオチン化し、酵母ライブラリーからストレプトアビジンビーズを用いてsarcoplasmic calcium binding proteinに対して親和性をもつ小型抗体のスクリーニングを行った。シーケンスの結果、小型抗体の複数のクローンを取得することに成功した。これらの抗体についてsarcoplasmic calcium binding proteinのエピトープ解析に利用できることが期待される。
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