研究課題/領域番号 |
20H01622
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
森田 英明 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 室長 (90365320)
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研究分担者 |
大矢 幸弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, アレルギーセンター, センター長 (80392512)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 界面活性剤 |
研究実績の概要 |
1.環境塵中の界面活性剤が高濃度に存在する場所の特定 環境中の界面活性剤の濃度を明らかにするため、家屋内の種々の場所から細塵を採取し、塵中の界面活性剤の濃度を測定することを計画している。本年度は、研究参加同意をいただいた参加者に家庭内の種々の場所から細塵の採集し、界面活性剤の測定方法の検討をお行った。その結果、臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:CMC)の測定が、最も鋭敏で、界面活性剤の検出に適していることを見出した。 2.好酸球性気道炎症を誘導する界面活性剤の同定及びそのメカニズムの検討 これまでに、家庭用合成洗剤をマウスに吸入させると、喘息様の好酸球性気道炎症が誘導されることを見出している。家庭用合成洗剤には様々な物質が含有されているが、その中でも界面活性剤に着目し、どの成分が喘息様気道炎症の誘導に寄与しているかを明らかにすることを試みた。今年度は界面活性剤のうち陽イオン性界面活性剤に分類される塩化ベンザルコニウムについて検討した。具体的には、マウスに塩化ベンザルコニウム、または生理食塩水を4日間吸入させ、最終吸入から24時間後の気管支肺胞洗浄液、及び肺組織像の検討を行なった。その結果、0.1%の塩化ベンザルコニウムを吸入させたマウスにおいて、気管支肺胞洗浄液中の好酸球が有意に増加することを見出した。また、肺組織の検討においても、0.1%の塩化ベンザルコニウムを吸入させたマウスでは気管支周囲に主に好酸球が主体となる炎症細胞の浸潤を認めることを見出した。これらの事実は、陰イオン性界面活性剤だけでなく、陽イオン性界面活性剤の吸入も喘息様気道炎症の惹起に関与している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系の確立が順調に行えているため
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、次の通り研究を進める予定である。環境塵中の界面活性剤が高濃度に存在する場所の特定に関しては、今年度の検討で確定した測定方法を用いて、家庭内の各場所から採取した細塵における界面活性剤の有無を検討する。また予定通り、好酸球性気道炎症を誘導する界面活性剤の同定及びそのメカニズムの検討を進める予定である。
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