研究課題/領域番号 |
20H01642
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
有本 章 広島大学, 高等教育研究開発センター, 名誉教授 (00030437)
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研究分担者 |
金 良善 広島大学, 高等教育研究開発センター, 講師 (10802861)
大膳 司 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60188464)
黄 福涛 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60335693)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学教授職 / 知識 / 教育方法 / 研究成果の特徴 |
研究実績の概要 |
世界の諸専門分野を担う大学教授職(Academic professions)は、①知識に対してどのように意識して、専門的活動を実施しているのか、②それらの意識や専門的活動は時系列にみてどのように変化しているのか、③それらの意識や専門的活動は大学教授職の属性(性、年齢、所属組織の種類、学位取得国、専門分野、所属国)によってどのように規定されているのか、を明らかにした。 8カ国(アルゼンチン、カナダ、フィンランド、ドイツ、日本、韓国、マレーシア、ポルトガル)について、「教育活動の中に実践志向の知識や技能が強調されている。」が当てはまるとする大学教員比率は、2017年が2008年よりも危険率0.1%において有意に高くなっている。専門分野別にみると、人文科学系、社会科学系、生命科学系、物理学系において有意に低くなっており、国別にみると、日本とドイツでは有意に低くなっており、マレーシアにおいて有意に増加している。 教育方法について、「PBL(問題解決型授業)」と「遠隔教育」は2017年のほうが2008年に比べて実施率が危険率0.1%で有意に高くなっていた。「個人指導」をはじめ、その他の教育方法は、2008年のほうが2017年に比べて実施率が危険率0.1%において有意に高くなっていた。 研究成果の特徴が、自身の研究に当てはまっている比率の高い順に、「応用・実践志向の研究」「基礎・理論研究」「1つの専門分野に基づく研究」「学際的的研究」となっている。「社会志向・社会改善を目的とする研究」と「学際的的研究」は、2017年のほうが2008年に比べて当てはまるとする大学教員比率が危険率0.1%において有意に高くなっている。「1つの専門分野に基づく研究」については2017年のほうが2008年に比べて当てはまるとする大学教員比率が危険率0.1%において有意に低くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の中で、国内・国際会議での対面的な会合が困難になったため、研究成果の交流が表面的なものとなった。そのことで、双方向の情報交換が十分に実施できなかった。特に、国際比較の観点から研究を実施してきており、早期に、国際会議の現地開催が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
残り2年間で、①大学教授職の将来像に関する研究、②大学教授職の研究生産性に関する研究、③大学の管理運営に関する研究、が残った研究課題である。 ①は、大学教員、大学学部長、企業や地方自治体の管理職員は大学・大学教員にどのような期待を抱いているか、それらの期待はどの点で同一であり、どの点で乖離しているか、その背景にはどのような要因が関係しているのか、を明らかにすることを目的としている。 ②は、1992年と2017年に実施した世界の大学教員を対象とした国際アンケート調査によって収集されたデータにもとづいて、1990年当初と近年の世界の大学教授職の研究生産量(特に、著書数や論文数)の実態と研究生産量の国別の規定要因を明らかにすることを目的としている。 ③は、1992年と2017年のデータを比較すると、日本の大学教員が、自身の組織の管理運営方式が望ましい状況であるとする比率が減少しており、その要因について明らかにすることを目的としている。
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