研究課題
本研究の主な調査対象地域は、東日本大震災(2011年)の被災地である宮城県南三陸町と熊本地震(2016年)の被災地である熊本県南阿蘇村である。本年度は、両地域において地域で活動する地元出身者、Uターン経験者、移住者に聞き取り調査を実施した。南三陸町においてはこれまで調査できていなかった地元出身の漁師の若者に話を聞き、漁業を取り巻く環境の変化や、都会で生活することへの考え方について知見を得た。また、南阿蘇村においては学校関係者、企業関係者、移住者等に話を聞き、熊本地震が地域に与えた影響や移住者の新しい活動や高校魅力化の動きについて知見を得た。南三陸同様、南阿蘇にも熊本地震以降に多くの若者が移住し、地域おこしの中心的役割を担っている。彼ら移住者にとって南阿蘇での活動は、「目の前の課題をひとつずつ解決していく」、「楽しく」、そして、「自己実現」のためのものである。ただその自己実現が、ソーシャルなものとは切り離された個人的なものでは無く、地域と結びついたものになっている。それは、南三陸に移住してきた若者たちの語りの中にも見いだすことができた。また、南阿蘇で地域活動を行うUターン経験者は、活動のモチベーションを南阿蘇の文化や伝統、歴史を継承することにあるとし、「地域おこし」は「地域のこし」だと語った。そして、被災した中学生たちにとって、「地域」とは友人であり家族であり、教師であった。つまり、身近な人たちとのつながりであった(先生の語りから)。高校魅力化に取り組む高校では、全国から生徒が集まり、入学希望者も増えている。これらの事例から地域の活性化において移住者や学校が果たすべき役割について検討した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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