研究課題
基盤研究(B)
本研究は過疎地の災害被災地の若者に焦点を当て、彼らがその地域で活動する理由やライフコースについて検討したものである。地域出身者、Uターン経験者、移住者など様々なパターンの若者にインタビュー調査を実施した。共通しているのは、①被災経験により地域が変わったこと。そして、②自分たちの地域への思いも変わったこと。多くの地域出身者は地域への愛着を再確認し、地域と無関係であった若者はその地域の素晴らしさに気づいた。また、③都会では無くともその地域で自己実現が可能だと思えたことである。それらが彼らのライフコースに影響を与えている。
教育社会学
本研究の学術的/社会的意義は、第1に、過疎地域である災害被災地において若者が活動する動機を、彼らのライフヒストリーも考慮しながら検討した点である。第2に、被災とその後の救援活動による地域の社会構造や人間関係の変容を、被災者の語りから明らかにした点である。そして、第3に、地域に若者を増やすための学校や企業の在り方について検討した点である。これらの知見は、過疎地に若者を呼び寄せ、彼らが中心となってその地域を活性化し、地域の生活の質を向上させる上で重要な示唆を与えてくれると考えている。