研究課題/領域番号 |
20H01664
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研究機関 | 國學院大學北海道短期大学部 |
研究代表者 |
草薙 恵美子 國學院大學北海道短期大学部, その他部局等, 教授 (90341718)
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研究分担者 |
星 信子 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20320575)
高橋 文 北海道情報大学, 医療情報学部, 教授 (50736098)
森口 佑介 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80546581)
八若 保孝 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (60230603)
中村 光一 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (50580932)
高橋 義信 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (30226906)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 思春期 / 気質 / 金属曝露 / 実行機能 / 前頭葉機能 / 運動発達 / 家庭環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、胎児・幼児・学童・思春期の各時期の金属曝露及び家庭環境等が急激な心理的変化の生じる思春期の子どもの心理・脳機能・運動発達に与える影響を縦断的に検討することである。 学童期紙面調査に回答した国内5地域271家庭に母親及び子ども用の調査票を郵送した。母親用調査票では、思春期気質質問紙「EATQ-R(Parent)」日本語版、「日本語版家族機能測定尺度」(FACES Ⅲ)、「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」(4~17歳用/親記入用)の質問項目、及び食品摂取頻度、家庭の経済状況等について尋ねた。子どもの自記式調査票では、「EATQ-R(Kid)」日本語版、SDQ(11~17歳用/自己記入用)、FACES Ⅲからの質問項目について尋ねた。171名の母親及び167名の子どもから回答を得た。 SDQの子どもの「総合的困難さ」の母親評定値と子どもの自己評定値の相関はr= 0.54であった。重回帰分析により学童期の養育及び気質の思春期「総合的困難さ」への影響を検討した結果、母親による評定では、養育変数と性の調整後、外向性・高潮性(ES)とエフォートフル・コントロール(EC)が困難さを減少させ、否定的情動性(NA)は困難さを増加させることがわかった。子どもの評定した「総合的困難さ」では、ESは有意ではなく、ECの影響度も半減したが、養育尺度の感情的領域が有意となり、子どもの感じる困難さには養育行動が影響していることが確かめられた。 学童期の子どもの毛髪中金属をICP-QQQにより測定した。毛髪処理及び測定の妥当性は標準試料(Human Hair:NIES CRM No.3)を用いて検討した。幼児期で問題のみられたアルミニウムの回収率は、灰化方法を変更することで概ね満足のいく回収率となった。子どもの毛髪中の鉛やマンガン等の金属の含有量は標準試料の毛髪濃度よりも低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症拡大の影響により、心理テスト実施のために研究者が都道府県をまたいでの移動をすることが困難となり、また保護者の職場で県外者との接触を禁じているために心理テストへの参加を見合わたいという家庭もあり、遅れが発生した。また、その遅れに伴って心理テスト協力者の年齢が上がったため、高校受験を控えた中学3年生の心理テストの日程調整が難航したことも、遅れが生じた要因である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の拡大状況を見ながら、心理・運動テスト及び脳活動測定の終了していない全国5地域の協力者の実験を引き続き行う。また、採取した思春期の毛髪と家庭の水道水中の金属を測定し、回収した食事調査票の入力と子どもの栄養素摂取量推定値の算出を業者に委託する。 これまでに得られた幼児期、学童期、思春期の縦断データから子どもの気質、実行機能、運動等への金属曝露並びに養育行動を含めた家庭環境の影響についての解析を進めつつ、個別の金属だけでなく複数金属の同時曝露が子どもの発達に影響する可能性も考えられるため、複数金属曝露の影響を検討するための統計解析の方法についての文献研究を行う。 既に得られている胎・乳児期曝露指標である脱落乳歯中金属量、幼児期及び学童期の毛髪中金属量の発達的変化及びこれら測定値同士の関連や曝露源についての解析を行う。
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