研究課題/領域番号 |
20H01664
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研究機関 | 國學院大學北海道短期大学部 |
研究代表者 |
草薙 恵美子 國學院大學北海道短期大学部, その他部局等, 教授 (90341718)
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研究分担者 |
星 信子 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20320575)
高橋 義信 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (30226906)
森口 佑介 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80546581)
八若 保孝 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (60230603)
中村 光一 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (50580932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 気質 / 思春期 / 金属暴露 / 実行機能 / 前頭葉機能 / 運動発達 / 家庭環境 / 問題行動 |
研究実績の概要 |
本研究目的は幼児期から思春期にかけての縦断研究により、子どもの気質や心の理論、さらにワーキングメモリや運動機能発達への複数の金属暴露の影響を検討することである。 参加承諾の得られた協力者の心理実験に取り掛かった。新型コロナ感染拡大状況下では長距離移動が困難なため、研究代表者及び共同研究者所属研究機関のある地域の思春期の子どもから、心理・運動実験並びに毛髪・脱落乳歯、家庭の水道水の回収等を開始した(6月滝川市、10月札幌市、11月生駒市、3月甲府市、山口県)。心理・運動テストでは、実行機能課題、ワーキングメモリ課題、粗大並びに微細運動能力の測定を実施し、同時に脳活動も測定した。 乳歯エナメル質中金属濃度と心の理論発達との関連を検討した。心の理論は近年増加している自閉症スペクトラム症の子どもには獲得が困難とされているが、金属暴露との関連について検討した研究は殆どない。心の理論は学童期に誤信念課題により測定した。結果、カドミウムのみ誤信念課題得点と有意な関係があり、カドミウム濃度のより高い子どもは誤信念課題得点が低かった。 幼児期子どもの毛髪中アルミニウム濃度への影響要因として、水道水の可能性が解析の結果から浮上したため、2020年度末に協力者10家庭から予備テストとして回収した水道水中金属濃度を測定した。回収の際には、水道管から金属が溶出する可能性を考えて、台所の水道栓から朝一番に採取した滞留水と流水3分後の水道水を回収した。水道水中の金属分析の結果、水道管の滞留水よりも流水後の水道水の方が亜鉛濃度は有意に低減(p < 0.014)、鉛も低減する傾向がみられた(p = 0.87)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者は国内5ヶ所に居住し、新型コロナ感染拡大状況下では国内の移動が制限されたため、心理実験の実施が遅れた。またそれに伴い子どもの毛髪、脱落乳歯、家庭の水道水等の回収も遅れた。さらに金属測定を行っている北海道大学オープンファシリティが「新型コロナウイルス感染防止のための北海道大学の行動指針(BCP)」のレベルが新型コロナ感染拡大によって引き上げられたことで施設利用が制限されたために測定が困難となったことも影響し、研究の進捗状況に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
心理・運動テスト及び脳活動測定の終了していない全国5地域の協力者の実験を引き続き行い、子どもの毛髪、脱落乳歯と家庭の水道水を回収する。また、採取した思春期の毛髪と家庭の水道水中の金属を測定し、回収した食事調査票の入力と子どもの栄養素摂取量推定値の算出を業者に委託する。 これまでに得られている幼児期、学童期の縦断データに思春期の調査票データを連結し、子どもの気質、実行機能、運動等への金属曝露並びに養育行動を含めた家庭環境の影響についての解析を進める。また、個別の金属だけでなく複数金属の同時曝露が子どもの発達に影響する可能性も考えられるため、複数金属曝露の影響を検討するための統計解析の方法についての文献研究を行う。
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