研究課題/領域番号 |
20H01672
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
伊藤 賢一 群馬大学, 情報学部, 教授 (80293497)
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研究分担者 |
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (10745590)
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30323231)
船木 昭夫 青森大学, 社会学部, 教授 (40347828)
友納 艶花 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (40645553)
川島 芳昭 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (70282374)
山田 真理子 九州大谷短期大学, その他部局等, 名誉教授(移行) (80141729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネットの長時間利用 / 青少年 / 健康被害 / ネット依存 / 大規模調査 / 追跡調査 |
研究実績の概要 |
本年度の当初計画では①縦断型追跡調査、②教育機関や医療機関・啓発団体等でのヒアリング調査、③ネットアドバイザーを対象とした啓発プログラム開発、④教師を対象とした啓発プログラム開発、⑤調査結果の分析と成果報告、を行うことになっていた。 ①については、実施を予定していた学校で新型コロナウイルスやインフルエンザの流行により学級・学校閉鎖があったため実施を延期せざるを得ず、次年度へ研究資金を繰越したものの、年度が変わってから予定していた教育委員会の一部から協力が得られないことが判明したため、協力が得られた群馬県中之条町で規模を縮小して実施した。その影響でサンプルサイズは小さくなったが、縦断型追跡調査が困難な時代に貴重なデータが得られたと考える。 ②については、都合により韓国の関連団体での調査が実施できなかったため、国内の教育関係者への調査のみを実施した。④の教師を対象とした啓発プログラム開発については、教員免許状更新講習が廃止にむけて大幅に縮小したことから、③のネットアドバイザー向け研修会・学習会と合同で実施することとし、ネット依存に関する研修会(6月・埼玉・群馬ほか全国6会場およびオンライン)、乳幼児のネット利用問題に関する研修会(9月・オンライン)、ネット健康問題全般に関する研修会(11月、1月・埼玉県およびオンライン)を実施し、さらに小・中学生および保護者向けカリキュラムの検証を兼ねた出前模擬授業を中之条町を初めとする群馬県(5月、6月、8月、9月、10月、11月、12月、1月、2月)、青森県(5月、7月、11月、12月)、鹿児島県(7月、11月、12月)、福島県(6月、11月、12月)、埼玉県(10月、11月、12月)、秋田県(11月)、東京都(12月)、岩手県(12月)で開催した。 ④の成果報告については、成果報告として学会報告(2件)、学術論文(2本)がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の内、③の啓発プログラム開発は順調に進んでいるが、④の教師を対象とした啓発プログラム開発は教員免許状更新講習が廃止されることとなり、22年度には大幅に縮小することとなったため、計画通りの実施が不可能となってしまった。そのため計画を見直して、③のネットアドバイザー向けのカリキュラム開発と合同で実施することとした。また、①の調査はコロナ禍やインフルエンザの影響もあって開始時期が1年遅れ、それにともなって⑤の分析と成果の公表も予定よりも遅れている。 ①は当初計画では20年度から開始するはずであったが、想定外のコロナ禍によって大規模調査が遅れた影響で21年度までずれこみ、想定外にこちらにマンパワーがとられたことから22年からの実施となったものである。また、当てにしていた教育委員会での調査が実施できないこととなり、繰り越した23年度には協力してもらえた中之条町のみでサンプルサイズを縮小して実施することとなった。 成果発表についても①の追跡調査の結果を反映できればよかったが、調査そのものが遅れたため、21年度に行った大規模調査の分析や報告に留まった点は反省点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は調査結果を分析してプレスリリースや学会報告、論文として社会に還元する予定である。今年中もある程度の分析結果を学会報告等で社会に還元したもの、まだ分析していないデータもいくつかあり、さまざまな成果報告の可能性がある。ネット長時間利用に関する健康被害(デジタルヘルス)に関する研究報告はあまり多くないため、積極的に報告していきたい。23年9月の社会情報学会(SSI)大会やコロナ禍のために1年延期された XX ISA World Congress of Sociology(メルボルン)での報告を予定している。 GIGAスクール構想によって学校でのネット環境が整備され、一人一台端末が整備されることになったが、逆に個人情報に関する意識が高まったことで追跡調査はやりにくくなっている。幸いにもわれわれのプロジェクトには群馬県中之条町との連携事業が開始されているので、同町教育委員会の協力のもとに追跡調査が実施できている。貴重なデータが得られているので積極的に成果を公表していきたい。
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