研究課題/領域番号 |
20H01678
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川畑 徹朗 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (50134416)
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研究分担者 |
西岡 伸紀 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90198432)
村山 留美子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20280761)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | いじめ防止 / レジリエンシー / 目撃者 / 介入研究 / 小・中学生 / 学校環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,いじめが多発する小学校高学年から中学生期の児童生徒を対象としたいじめ防止プログラムを開発し,その有効性を検証することである。 研究の最初のステップとして,数年にわたって開発研究を進めてきた中学生用いじめ防止プログラムを完成した(2020年7月)。本プログラムは,「人生上の変化や課題に適応し,困難な時に回復する能力」と定義されるレジリエンシーの形成を主として目指す「ユニット1」と,いじめの目撃者が被害者を助ける行動を取れるように支援することを主として目指す「ユニット2」から構成される。また同一の基本的考えに則って,小学校5,6年生を対象としたプログラムの開発にも着手し,2021年度中の完成を目指している。 次に研究分担者の西岡を中心として,プログラムの有効性を検証するための手段として,児童生徒を対象とした調査表の開発に取り組んだ。調査内容は,いじめにかかわる行動(被害経験,加害経験,いじめ目撃時の行動)やいじめに対する態度,いじめ行動にかかわる心理・社会的要因(対人関係スキル,意志決定スキル,ストレス対処スキル,ソーシャル・サポート感など)で構成される。また,ヘルスプロモーションの考え方に基づけば,いじめを効果的に防止するためには,レジリエンシーなどの個人的能力の形成とともに,いじめが起こりにくい物理的・心理的学校環境づくりが重要である。そうした学校環境を評価するための手段として,研究分担者の村山を中心として,教師を対象とした学校環境評価表の開発に取り組んだ。 以上の基礎的研究と並行して,教師研修会(ワークショップ)を,兵庫県伊丹市,京都府綾部市などで開催し,開発したいじめ防止プログラムの理論的背景,具体的進め方について体験的に学ぶ機会を提供した。また,参加者に対してプログラムの有効性の評価研究に参加するように促した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いじめ防止プログラムの開発や有効性を評価するための調査表の開発作業は概ね順調に進み,次年度以降の有効性に関する評価研究を実施するための準備は整った。 しかしながら,2020年に始まった新型コロナウィルスの感染拡大に伴って,学校をベースとする本研究は,学校でのプログラム実施段階において多大な影響を受けている。特に,繰り返される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令によって,教師研修会が開催されなかったり,開催しても参加者数が極めて少なかったりした。それによって,プログラム実施校が予定していたようには増えず,現段階では小学校が3校(広島県福山市,広島県府中市,京都府綾部市),中学校が3校(広島県福山市,広島県府中市)にとどまっており,さらに学校数や地域を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
予定している研究校において,2022年度からプログラムの実践と評価研究をスタートする。それと並行して,より多くの地域で研修会を開催し,開発したいじめ防止プログラムに対する関心を高め,研究校を募集することとする。
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