研究課題/領域番号 |
20H01680
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青木 多寿子 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (10212367)
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研究分担者 |
山田 剛史 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10334252)
川合 紀宗 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20467757)
笹山 健作 三重大学, 教育学部, 准教授 (20780729)
足立 稔 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70271054)
新 茂之 同志社大学, 文学部, 教授 (80343648)
井邑 智哉 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (80713479)
宮崎 宏志 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (30294391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 品格教育 / 徳(Virture) / 活動量 / 主体的な行為の習慣 / 品性 / Character education / 知・徳・体 |
研究実績の概要 |
Character(品性)は,刻み込む,彫り込むという意味があり,生後のよい「習慣」の 形成で培われる人格の部分を指す。米国生まれの品格教育は「よい市民」の育成を目指して 20世紀の終わりに始まり世界中て展開を見せ、2015年には英国で伝統的な市民教育とCharacter Education(品格教育)と融合した世界最大のリサーチセンターもできた。 日本では古くから,人格は「知・徳・体」で創られると考えられており,学校の校則もこれに沿っていることが多い。部活動, 特に体育系の部活では,運動を通して児童生徒の精神的成熟が促されると考えられている側面もある。確かに身体は自ら考えて決定し,実行しなければ動かない。つまり主体性が関与するうえ,行為の習慣は運動能力の向上という目に見える形でフィードバックを得られやすく,向上心に結びつきやすいと考えられる。このプロセスで培われた向上心は人格形成にも影響を及ぼす可能性は高い。そこでこれらの関連をデータを用いて検討することにした。 身体活動については活動量を測定する手法を用い,学校と家庭の協力を得て, 児童に1週間,起きている間に加速度計を装着してもらいって運動の量と強度を測定し,品格,Well-beingの関係を検討した。分析の結果,活動量と一部の品格の関係は見いだせた。この結果は国際学会での発表で採択され,R5年に発表予定である。英語の投稿論文も終わり,現在投稿中である。 品格とWell-beingとの関係についてははもう一つ問題がある。今までの我々の研究で,小中学生では品格とwell-beingの関係は実証済みであるが,日本の成人においても関係が見られるかが明らかでないことである。成人についてもWell-beingと関係のあることを示さなければ,児童生徒に積極的に推奨できない。そこでこの関係についてもWeb調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のように品格と活動量との関係については,分析も終了して英語の論文を投稿している。他方で,心理学と保健体育の融合であるため,どの雑誌、どの領域がこの研究にぴったり当てはまるのかを探すのに苦心しており、投稿先の雑誌を見つけるのに少し難儀して,なかなか採択に至らない現状がある。他方で,この研究については,国際学会の発表は採択されたので,R5年に発表する予定である。 学齢期以外の品格とWell-beingの関係に関する研究については,質問紙の訳を完成したが,コロナ禍の緊急事態宣言下では,Well-being研究は適切でないと考え,実施を翌年に繰り越して、コロナ禍がある程度収束するまで調査を待って研究を行った。このため分析は遅れている。他方で一部は分析を終え,国際学会に投稿。採択されてR5年度には発表する予定である。 また,生徒指導提要を詳細に検討することで,品格教育を学校教育に位置づける研究を行う予定であったが,本研究が採択された後、文部科学省より生徒指導提要が全面改訂が発表された。このことから旧版の生徒指導提要に品格教育を位置づけても教育現場への影響力が高くないと考え,改訂版の発表を待った。その結果R4,12月末に改訂版がWebサイトで公開され,令和5年3月24日に本が出版された。これらの経緯の結果,現在はまだ本が出版されてまだ2ヶ月しか経過しておらず,この研究は予定通り進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
活動量と品格の関係については,引き続き,国際誌への論文の投稿を続けて採択まで持って行く。また,まだ分析を終えていない成人を対象としたWell-beingと品格の関係に関する研究データについては,さらに分析を進め,順次,研究発表をしてゆく予定である。 R4年度版の生徒指導提要については,今から読み込んで分析を始める。
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