研究課題/領域番号 |
20H01682
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松浦 伸和 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30229413)
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研究分担者 |
木下 博義 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20556469)
影山 和也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60432283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 英語学力 / 学力調査 / 中学生 |
研究実績の概要 |
本年度は、中学生の英語学力の実態をより詳細に把握するとともに、学力調査の正答率等と生徒の学習・生活環境などをたずねた生徒質問紙調査の回答との関係について統計的な分析を行った。 生徒の学力差による解答傾向の差を検討するために、IRT平均能力値と標準偏差を用いて3群に分類して解答傾向を分析した。その結果、全26問中14問(53.8%)において、学力群によって正答率が異なることがわった。とりわけ書くことの知識・技能は学力差が顕在化していること、さらに話すことについても3群間で明確な差が現れていることが明らかになった。 次に、本調査で使用された問題を、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの4つの「技能(領域)」を、「知識・技能」および「思考力・判断力・表現力」によって8つに区別して、クラスター分析により生徒のグルーピングを行った。その結果、「全体的に高得点群」「聞くことだけ高い群」「話すことだけ低い群」など6グループに分かれることを見出した。それぞれにあった指導方法を検討する貴重な基礎資料となった。 生徒質問紙調査との関係では、まず、英語の授業での活動に関する5つの質問項目のうち4つで、「英語IRT能力値」との相関が高くなっている。これら4項目は「知識・技能」との相関も高く、また、「思考力」との相関も、1つを除いた3項目で0.2を上回っていた。授業においては、1、2年の英語の授業で言語活動を行ってきたと回答した生徒は、知識・技能が高く、思考力等も高い傾向がある。次に、学校での教育課程全般で、課題解決のための取り組みや言語活動が行われたかについては、「項目37:課題の解決に自分で考え自分から取り組んだ」「項目38:自分の考えがうまく伝わるように工夫して発表した」と答えた生徒の「英語IRT能力値」「知識・技能」「思考力等」との相関が高くなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文部科学省から全国学力調査に関するすべての生徒(約100万人分)を貸与していただいたため、これまで、基礎的な処理ならびに生徒質問紙調査との関係と統計処理データの分析は予定通り順調に進めることができている。しかし、思考力等を評価する新たな問題を、海外の先進的な事例を参考に開発することにしているが、折からの新型コロナの流行により、海外出張自体が不可能な状況になっている。当初の計画では、シンガポール、イギリス、オランダへ出張して情報収集を終えていることになっているが、それがまったくできていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、学校質問紙調査との関連を分析することで、英語学力に実態をより深く解明することを目指す。上述したように、これまでデータの分析は予定通り順調に進めることができている。しかし、思考力等を評価する新たな問題を、海外の先進的な事例を参考に開発することにしているが、折からの新型コロナの流行により、海外出張自体が不可能な状況になっている。目下、ネット等で可能な限り調べたりしているが、限界がある。
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