研究課題/領域番号 |
20H01694
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
秋庭 裕子 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 講師 (10313826)
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研究分担者 |
中井 俊樹 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 教授 (30303598)
米澤 由香子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60597764)
太田 浩 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 教授 (70345461)
平井 達也 立命館アジア太平洋大学, 教育開発・学修支援センター, 教授 (80389238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学教員 / ファシリテーション / 多文化共生社会 / 授業 / 文化的多様性 / アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
日本における多文化共生に向けた教員のファシリテーション能力養成プログラム理論の構築と開発を目的とする本研究において、1年目である2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大によって国内外の出張計画が中止となった。そのため、研究チームの研究計画・方法を検討し、本研究の基礎として、多文化ファシリテーション能力の育成という観点から国内外の文献資料調査を中心に進めた。 文献資料調査では、ファシリテーション、授業、多様性、アクティブラーニング等の本研究のキーワードから文献リストと要約を作成した。米国では、ダイバーシティ&インクルージョンに対する意識の高まりから、学習者の多様性に配慮した教授法に関する書籍、大学の教員向けホームページにも関連した教授法の資料が蓄積されている。この文献資料調査から、米国のコンテキストでのダイバーシティは、宗教的、人種、学習スタイルなど多種多様な視点が含まれていることが推測されるが、本研究では、日本のコンテキストを考慮して、言語・文化的多様性に焦点を当てて研究を進めていくことになった。2021年度は、本研究のファシリテーションに近い領域として、国際教育担当者、国際担当上級職員、グローバルリーダーという3領域での文献調査をもとに、本研究で考えるファシリテーターのコンピテンシーを考察し、学会で発表した。 大学教職員のファシリテーションの現状と課題を検証することを目的とした調査については、2021年度に、計3回のオンライン研究会を実施し、参加者への事前・事後アンケートから情報収集を行った。また、コロナ禍で海外でのワークショップ参加と聞き取り調査ができなかったため、研究チームのメンバーは、関連分野のオンライン研修に参加し、本研究に関する知見を深めた。今後は、研究メンバーで開催した研究会の実績とオンライン研修への参加で得た知識も踏まえて、書籍の執筆を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、初年度である2020年度には文献調査、および海外におけるファシリテーター養成プログラムに実際参加し、その講師へのインタビューや好事例の収集を実施する予定だった。このうち、文献調査は、学習者の学びのファシリテーションという観点から体系的に文献を収集し、文献調査と研究チーム内の議論から本研究の方向性を確認することができた。文献調査については、その成果の一部を翌年度2021年度の学会発表につなげる。 海外におけるファシリテーター養成プログラムへの参加ならびに講師へのインタビューは、新型コロナウィルス感染拡大により海外渡航が困難となったため、実質延期となった。今後、オンラインで同養成プログラムが実施される可能性は高いが、対面で参加型の調査が今後可能かどうかは、今後の感染状況に応じて検討していくこととなった。 成果物については、コロナ禍により当初の研究計画に大幅に変更が生じたこと、各研究メンバーもオンライン授業への対応など業務上での対応も重なり、積極的に発信はできなかったが、研究の初年度における文献調査による基礎調査を実施し、今後の研究の方向性と発信について改めて検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度(繰越しにより2022年度まで延長)は、文献調査で得られたデータのうち、多文化ファシリテーターの近接領域として、グローバルリーダー、国際教育担当者上級職(SIOs)、国際教育担当者の3領域の文献から、多文化ファシリテーターとして必要なコンピテンシーについて検証し、学会発表を行う。また、研究メンバーで今後の書籍出版の章立てを検証し、担当章の内容に関連した研究会を複数回にわたって実施する。また、研究会の参加者には、ファシリテーションに関する現状や課題に関するアンケートを実施し、書籍執筆の参考にする。2022年度には、ファシリテーションに関連した書籍の翻訳(英→日)を進める。
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