研究課題
本研究では、ことばの教室で使用可能な入級審査のためのチェックリストを開発することを目的とし、言語障害の専門家8名により入級の適切さをスクリーニングするためのチェックリスト項目を作成した。質問紙の構成は,相談歴10項目,自閉スペクトラム症(ASD)4項目,注意欠如・多動性障害(ADHD)3項目,学習障害(LD)3項目,言語発達障害3項目,発達性協調運動障害(DCD)2項目,構音障害7項目,音声障害2項目,吃音4項目とした。通常学級在籍児およびことばの教室に通う児童の保護者を対象に質問紙調査を実施し、あわせて教員にも指導している障害種別を尋ねた。その結果、専門家への相談歴、検査を受けた経験等についての回答は、その後のことばの教室の利用を予測できる可能性があり、情報を得ておくことは有効であることが確認された。担当教員による回答から、言語障害以外に発達障害等を対象とした指導も行っている現状が明らかにされ、発達障害に関する項目を設定することの重要性についても示唆された。次に、本チェックリストの言語障害の項目については通常学級の児童との差が明らかであり、判別可能であると考えられるが、発達障害においては判別が困難である可能性が示唆された。今後は、発達障害に関する項目の検討が求められる。さらに、音声障害への該当が少ない点については慎重な解釈が必要であり、構音障害に該当した児童への精査の方法を分かりやすく示すなどの工夫についても検討する必要がある。最後に、本チェックリストを使用することで通級に通う必要のある児童を、ある程度は検出できる可能性が示唆された。一方で,対象障害によってはサンプルサイズが小さいために精度が低くなっていることや、検出に有用でなかった項目もみられたため、今後はそれらの検討が必要であると考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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