研究課題/領域番号 |
20H01707
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮地 弘一郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40350813)
|
研究分担者 |
渡邉 流理也 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40750120)
山下 健 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (50783990)
堅田 明義 中部学院大学, その他部局等, 特命教授 (60015435)
蛭田 直 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (80548230)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 重症心身障害児(者) / 脳波測定 / 個人用脳波電極ホルダー / デジタルファブリケーション / パラメトリックデザイン |
研究実績の概要 |
2021年度は、以下の研究を実施した。 1)健常成人を対象として、個人用脳波電極ホルダーの試作版を開発し、予備検証を実施した。①低負担性②装着の簡便さ③フィッティング精度④強度⑤姿勢の影響について、市販の脳波電極キャップと比較した。結果、②装着の簡便さについては、10回の装着実験の平均が明らかに市販の脳波電極を下回り、簡便さが検証された。③フィッティング精度についても、10回の測定を実施した結果、個人用脳波電極ホルダーでは電極位置のズレがほとんどなかった。①低負担性については、時間経過による頭部へのストレスがみられ、頭部固定の方法に関する修正が必要となった。また④強度については、十分な強度を確認できたが、①への影響を低減する素材と形状の工夫が必要である。また、⑤姿勢について、座位、仰臥位での使用には問題がなかったが、側臥位において安全性の向上が課題となった。 個人用脳波電極ホルダーを使用した脳波測定においては、臥位姿勢で問題なく実施できた。また、皿電極による頭部電極設置においても有用性が確認された。 2)1)で挙げられた課題を改善するために、パラメトリックデザインを用いて個人用電極ホルダー試作版の修正を行った。姿勢の影響が小さく、また頭部ストレスを分散させてホールドする形状とした。パラメトリックデザインを使用することで、測定電極数や姿勢に柔軟に対応した複数の個人用電極ホルダのバリエーションモデルを製作可能なことが検証された。測定対象者のその日の状況に合わせた最適な電極装着が実現可能である。 3)感染リスク等による接触制限に対応しながら重障児への応用研究を行うための、頭部スキャンの簡便化と重障児のモニタリング法を検討した。頭部スキャンについてはスマートフォンとパラメトリックデザインを組み合わせた手法が有効と思われた。重障児のモニタリングにおいては瞬目指標の活用が有用と思われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の当初研究計画は次の2つの課題遂行であった. 課題1)個人用脳波電極ホルダーの開発と予備検証 課題2)重障児を対象とした個人用脳波電極ホルダーの3Dモデル作成 課題1については、脳波電極ホルダーの基礎デザインと制作の中核を担う研究分担者の蛭田直氏が,2021年度より研究代表者の研究機関から別の研究機関に異動したため研究方法の見直しが必要となったものの、遠隔での3Dデザインを共有し製作・検証を行う環境整備を早期に実施した事から、ほぼ問題なく課題を進めることができたとともに、今後の研究の効率化が実現された. 課題2について,2020年度からのCOVID-19のリスク状況が続いたことから、重障児施設における身体接触の大幅な制限があり、研究者による頭部スキャン実施ができなかった。このため、2021年度は、施設との対象事例の選定と、施設スタッフが頭部スキャンを実施できるようにするための簡便化に関する準備を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により重障児を対象とした基礎研究への大きな制限が生じているものの,個人用脳波電極ホルダーの開発は現在のところ概ね当初計画通りに進んでいる.また、COVID-19リスクによる研究者の直接的な重障児との接触制限に対応するため、スマートフォンを使用して施設スタッフが頭部スキャンを実施する技法を開発中である。今後の研究推進方策として、スマートフォンを用いた頭部スキャンデータと頭部写真を元に、パラメトリックモデルによりスキャン精度の補完を行って頭部3Dモデルを作成する手法を開発する。この手法を用いて、重障児を対象とした頭部3Dモデルの作成を行い、個人用脳波電極ホルダを製作する。
|