研究課題/領域番号 |
20H01708
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松宮 奈賀子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70342326)
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研究分担者 |
川合 紀宗 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20467757)
大谷 みどり 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80533299)
村上 加代子 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (00552944)
中山 晃 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (70364495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小学校外国語教育 / インクルーシブ教育 |
研究実績の概要 |
本研究は特別なニーズのある児童を含めたすべての児童を対象に,インクルーシブな視点をもった外国語教育の在り方を検討することを目指している。そのためには児童のつまずきの実態把握,教師のつまずき認知の実態把握,教師の課題の把握,教材の工夫など様々な視点からインクルーシブな外国語教育の実践を分析する必要がある。 本研究の初年度である2020年度には,当初,国内外の先進的実践校における実践およびカリキュラム・マネジメントの取り組みを分析することを計画していたが,新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い,移動を伴う見学や学校への学外者の訪問が厳しく制限され,計画を達成させることが困難となった。そこで,本年度のもう一つの目標であった外国語の諸教材における支援の工夫の分析と,2019年度末に本研究の開始に先立って実施した小学校第6学年児童のつまずき実態調査の結果分析を中心に研究を進めた。 児童のつまずき実態を把握するための調査は,6年生を指導する教師への質問紙調査を通して実施された。学級担任として英語の指導に関わっている教員235名と専科教員60名の計295名から回答を得て,指導している児童が英語の4技能の学習および母語や人間関係の構築などにおいて困難な様子を見せているかどうかを調査した。その結果,指導者の視点では「書くこと」において最も多くの児童が難しさを見せていることや,学級担任と専科教員での認知のありように統計的有意差は認められなかったものの学級担任の方が多くの項目において,より多くの児童が難しさを感じていると回答する傾向があり,英語学習の過程が見通せているかどうかによってつまずき認知の方法に違いがある可能性が示唆された。この研究結果は小学校英語教育学会およびLD学会で発表し,JES Journal(査読あり)に掲載された。 教材の分析は次年度以降も継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は学校での見学,調査の実施が困難となり,当初の計画通りに進めることが難しくなった。この点において研究に遅れが出たが,一方で本研究につながるものとして先立って実施した質問紙調査の結果分析を行い,学会発表および論文公表につなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には,2020年度に実施できなかった学校訪問をおこない,英語の授業においてどのような「インクルーシブな視点および工夫」があるかを授業見学を通して情報収集する。また,児童のつまずきに対する先生方の支援の実態や研修などについても,実際の学校訪問において情報収集したい。 また,英語学習における児童のつまずきの実態をより広く深く把握できるよう調査の実施に向けて,データ収集の方法を検討していく。
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