研究課題/領域番号 |
20H01726
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
丹羽 量久 長崎大学, ICT基盤センター, 教授 (90448499)
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研究分担者 |
バーニック ピータージョン 長崎大学, 障がい学生支援室, 助教 (00752726)
山地 弘起 独立行政法人大学入試センター, 独立行政法人大学入試センター, 教授 (10220360)
椿本 弥生 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (40508397)
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタ認知 / メタ認知尺度 / 高等教育 / 授業設計手法 |
研究実績の概要 |
日本教育工学会2023年春季全国大会において, Metacognitive Awareness Inventory(MAI; Schraw & Dennison, 1994)を共通課題として研究報告と討論を行う国際ワークショップを企画・開催した。討論のポイントとして,MAIの翻訳に係る課題,MAIの妥当性・信頼性・短縮版の構成,メタ認知育成の今後の方向性の三つを取り上げた。MAI原著者の一人R. A. スパーリング氏からは,12カ国における翻訳版の活用,およびStSRLフレームワーク(Metacognition,Strategy Use,Motivation,Content,Management)の活用事例について報告があった。陳姿菁氏からは,MAI改訳版58項目を中国語に翻訳した際の問題点と台湾における日本語教育でのMAIの活用事例について報告があった。 メタ認知を高める授業課題への改善方策の検討として,情報系教養教育科目において,学生が学習成果の改善に繰り返し取り組むように授業設計を見直した。具体的には,スライド資料にナレーションを組み込ませた上で,クラウド型コミュニケーションツール上でクラス内共有した。3回の発表機会においてスライド資料の改善を目的とした学生間相互評価に取り組ませた。学生が記述した授業全般の振り返りには,他者の発表に刺激されて創意工夫を試みたり,自身への評価結果や助言のフィードバックを受けて加筆・修正したり,とスライド資料への音声組み込みがもたらす利点に加えて,クラス内共有や学生間相互評価の取り組みが改善行動を促していたことがわかった。さらに,これらの改善行動をメタ認知の観点から分析したところ,多くの学生は事前・遂行・事後段階にさまざまなメタ認知を働かせていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特定科目におけるメタ認知を高める授業設計の糸口を掴めたが,多様な授業形態への展開については実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
比較的汎用な授業課題と考えられるプレゼンテーション課題において,学生たちは改善行動にはさまざまなメタ認知を働かせていることがわかった。このように実際に「学生自身で考えて,メタ認知を働かせたこと」は,他の学生が見習いやすい事例として考えられるため,改善行動のさらなる蓄積を試みる。また,たとえば演習のような異なる授業課題において,学習行動にメタ認知活動が伴っているか検討する。 MAI逆翻訳版について,MAI原著者のスパーリング氏から助言をもらいつつ検証し,邦訳版の表現の確認および修正を行う。また,日本語で新規作成した6項目について英訳したものを日本語に逆翻訳した結果を踏まえ検証と修正を行い,58項目のMAI日本語版を完成させる。なお,並行して短縮版を検証し,修正したうえで完成を図る。
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