研究課題/領域番号 |
20H01728
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
大場 みち子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30588223)
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研究分担者 |
峯 恒憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30243851)
松澤 芳昭 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (40517017)
新美 礼彦 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (80347179)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 取捨選択並べ替えプログラミング / ワークシート作文 / 時間的な共起分析 / 学習分析 / 作文行動 / 思考過程 / 操作パターン |
研究実績の概要 |
2つの大学の講義や演習に本研究で開発したパズル・アプリケーションを適用して、学生の操作を記録・分析した。また、数の整列を題材に、解くプロセスを分析した。これらの成果を、学会・研究会で発表した。 ■プログラミング入門のオンライン演習では、授業中の小テストや授業後の実験で、取捨選択並べ替え方式のプログラミング・パズル「ジグソー・コード」を使って学習者の操作を記録した。記録したデータを、操作対象の時間的な共起の観点で分析したところ、パズル問題に狙って組み込んだ「迷いやすい選択肢」について、学習者が解くプロセスで実際に迷っている様子を確認できた。 ■情報マネジメントのオンライン講義では、事前学習用のワークシート(反転授業)や、グループワーク用のワークシート(アクティブ・ラーニング)を開発して、ワークシート型作文ツール「Topic Writer」を使って学習者のレポーティングを記録した。編集操作の活発度はワークシートの内容評価との間に正の相関があり、事前学習の充実度の指標となる可能性を示せた。グループワークでは、ワークシートの項目順に沿って議論を進めることで、後半に向けて議論を深められる可能性を示せた。 ■単純な知的プロセスとして数の整列を題材に、人およびコンピュータによる数の整列を記録・分析した。同じ学生にプログラミング・パズルと数の整列との両方の課題を与えて解き方を分析したところ、「ソースコードを上から順に並べる学生は小さい数から順に並べる傾向がある」など、分野をまたがった解き方/思考過程に関係がある可能性が分かった。 コンピュータによる数の整列では、クイックソートといったアルゴリズムの違いが、移動対象の数の時間的な共起パターンに反映されることが分かった。近年プロセスの分析では、正解との距離の変化が使われるが、「適切なプロセスでは距離が単調に減少する」とは言えないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
取捨選択並べ替えプログラミングのパズル問題に迷いやすい選択肢を組み込んだり、議論の進め方に沿ってグループワークのワークシートを作るなど、効果的な課題設定の方法を見いだせた。分野をまたがった思考過程の関係や、正解との編集距離の性質など、分析方法に関する知見を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
オンライン授業、反転授業、アクティブ・ラーニングの観点から、ワークシートをさらに工夫して実践し、データ分析で確認する手法を開発する。「迷いやすい選択肢」以外にも、プログラミング・パズル問題の工夫点を見出す。 ワークシート作文に共同編集機能を実装する。 プログラミング・パズルを、行数が多いプログラムでも使いやすいように改善する。
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