研究課題/領域番号 |
20H01730
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
赤倉 貴子 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (80212398)
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研究分担者 |
東本 崇仁 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (10508435)
加納 徹 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (40781620)
加藤 浩一郎 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (50387338)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学習支援 / 知的財産法 / 法律学習 / システム開発 / 論理式 / 論理回路 |
研究実績の概要 |
法律条文が論理式で書けることは広く知られており、その知見は法律エキスパートシステムや条文の無矛盾性の検定などに利用されてきた。しかし、これを学習支援システムに利用した例はなく、研究代表者は、知的財産法の問題演習において、論理式で問題解決過程モデルが定義できることを示し、これを学習支援システムに応用できることを示してきた。 2020年度は、条文論理式を論理回路で表し、工学部学生が理解しやすい形での視覚化を行い、論理回路を組み立てながら、条文を理解する条文学習システムを構築したが、条文を論理式化する作業は、専門家が手作業で行ったため、条文を完全に網羅するには至っておらず、また非常に時間がかかるという問題があったため、2021年度は、条文をある程度自動的に論理式化することを目指した。法律条文を自然言語処理の手法を使って解析し、特に法文独特の接続詞である「または」「あるいは」「若しくは」などの違いを同定して、論理式化した。論理回路を組立ながら条文を学習するシステムや、知識がどの程度身についたかをチェックする演習システムを構築し、工学部の講義「知的財産法」のビデオ教材(講義を録画し、これにさまざまな機能をつけて復習・補習用としたシステム)とともに利用できるようにした。ビデオ教材、条文学習システム、演習システムの3つのサブシステムからなる学習支援システムを実際の講義で、自習用補習用として自由に使えるように提供した。実践的利用での分析から、どのような特性を持つ学習者にどのようなコンテンツを提供するのが最も効果的であるかについても明らかにした。またこれまでの研究成果を応用し、知的財産の侵害訴訟等の判例を視覚化する試みにも着手しており、これまでに開発してきたシステムと合わせて総合的な知的財産法学習支援システムを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、法律条文が論理式で表現できることを利用し、計算機上で演習問題の解を計算機が一意に求めることができ、学習者の入力した解と比較して、式のどの部分で誤りがあったかのフィードバックができるという研究代表者の先行研究を発展させて、工学部学生が論理式や論理回路に親和性を持っていることから、インタフェースとしても論理式や論理回路を使って学習できるシステムを開発して、実用に供することである。2020年度は、システムの大枠を作成することが目標であったが、インタフェースの改善が進み、実際の講義の中でも利用することができたので、2021年度は、法律条文を半自動的に論理式化できるようにしようとした。法律条文を自然言語処理の手法により解析し、条文から論理式を作成することはできたので、次は論理回路を自動的に作成できるようにすることを目指す。一方で、従来から講義の自習用補習用として提供している講義のビデオ視聴システム(講義を録画し、それにさまざまな機能をつけたシステム)と本研究で開発している条文学習システムと演習システムを統合し、実際に授業用として提供した。このシステムの使われ方の分析により、学習者の特性に応じたコンテンツの提供の方法を検討することもできたので、当初の計画以上に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、判例を視覚化する試みにも着手したので、2022年度は、自動論理式化できる法律条文を増加させ、自動論理回路化につなげ、その自動論理式化・論理回路化機能を組み込んだ学習支援システムを構築するとともに、学習支援分野を拡げ、判例の学習支援・演習機能もシステムに組み込む。具体的には以下の手順で行う予定である。 (1)自動論理式化できる法律条文を増加させる。さらにそれを自動論理回路化につなげる。そして条文の自動論理式化・論理回路化機能を学習支援システムに組み込む。法律条文との整合性、精度の検証も行う。その上で学習者が法律条文学習支援システムを利用した場合の学習効果を検証して、システムを学習者特性に適応した形で提供する方法論を確立する。 (2)判例を視覚化して学習する機能を学習支援システムに追加し、その効果を検討する。視覚化の精度の検証も行い、統合的な学習支援システムの実用的運用をはかっていく。
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