研究課題/領域番号 |
20H01732
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00184143)
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研究分担者 |
遠山 孝司 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (50468972)
百瀬 桂子 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (60247210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 感情的意思決定 / 教師 / 直観 / 脈拍データ |
研究実績の概要 |
埼玉県内の小学校教師を対象に,脈拍データと授業場面との関連を見るための予備研究を行い,脈拍データが教師の意思決定場面における感情指標となりうることを確認した。具体的には,脈拍の値がピークから直後に落ちる時点で直観が生起することが明らかになった それを踏まえて,静岡県内の小学校において,教職経験年数10年以上の教師2名に対し,脈拍データとリンクした授業の360°カメラによるビデオ録画を行い,脈拍データに基づく教師の直観的判断場面における教師の思考内容に関するインタビュー調査を行った。小学校教師に関しては,感覚的な経験,身体的な相互作用,空間ー一時的な志向という直観を構成する観点に基づき,インタビューの分析を行った。その結果,小学校教師は授業時間の経過と授業目的を修正しながら,児童のダイナミックな変化を感じ取って判断していることが示された。 この結果を踏まえ,同県中学校数学教師を対象に,脈拍データとリンクした授業のビデオ録画を2クラス行った。これは,同一教科同一内容の授業において,生徒が異なることで教師の判断,意思決定に差異があるかを明らかにするためである。現在,詳細については分析中であるが,少なくとも教師はクラス全体としての生徒の実態に応じて,生徒の反応の認知は異なっていることは示されている。 これらの分析結果を踏まえ,現職教員及び教育実習生を対象に,VRによる授業認知及び判断・意思決定,視線,脈拍データの3つのデータ収集を行う,実験を準備しているところであり,2022年度に実験を実施予定である。 さらに,研究成果についても2022年度に国内外の学会での発表を準備していることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響のため,授業の録画等,学校でのデータ収集がずれ込んだことが一因としてあげられる。また,脈拍データの収集に関して,実験室でのデータ収集とは異なり,教室場面でのデータ収集においては,機器の精度との関連で脈拍データが5秒単位であったため,授業との同期の問題が生じたことも一因である。 以上の状況から分析を開始することが予定より遅れたことが,進捗状況がやや遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
まず収集したデータの分析を迅速に進めることはもちろんであるが,2022年度8月には学校教師及び教育実習生を対象としたVRを用いた意思決定のシミュレーション実験を行う準備を進めているところである。研究計画に基づいたデータ収集ができることになっている。 また,研究成果の発表に関しても,国際学会での研究発表もようやく行われる状況になりつつあり,こちらに関しても積極的に行っていく予定である。 なお,コロナ禍で十分なデータ収集ができない一面もあったため,これまでの知見を活かし,協力いただける教師を確保し,データ数を増やしていく予定である。
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