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2022 年度 実績報告書

統計学的観点を加味した科学哲学による「科学的推論」教育プログラムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20H01736
研究機関北海道大学

研究代表者

松王 政浩  北海道大学, 理学研究院, 教授 (60333499)

研究分担者 島谷 健一郎  統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70332129)
森元 良太  北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (70648500)
川本 思心  北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90593046)
大久保 祐作  大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), データサイエンス共同利用基盤施設, 特任研究員 (60871100)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード科学モデル / 科学哲学 / 統計モデル / 科学教育
研究実績の概要

今年度は主に、科学哲学における主題のうち、「科学モデルとは何か」に焦点を絞り研究を実施した。具体的な研究テーマは、1)これまで科学哲学において議論された科学モデル論を整理し、課題を明らかにすること、2)科学モデル論と科学における実践との接点を明らかにすること、および3)科学モデルと統計モデルの関係について理解を深めること、である。これら三つのテーマの研究を通じて、科学教育への応用可能性について検討した。
活動実績としては、まず9月に合宿形式で特に1)のテーマについて集中討議を行った。その際、現在の科学哲学におけるモデル論を牽引するRoman Frigg(ロンドンスクールオブエコノミクス)の最新著書Models and Theoriesを基本的なテキストとした。これを準備として、2月には、著者のRoman Friggを招き、北海道大学において科学哲学国際シンポジウム「科学とモデル」を実施した。フリッグには、これまでのモデル論の反省の上に構築されたDEKI仮説(モデルをフィクションの一つと見る「フィクション説」を大幅に改良した説)について講演を行ってもらい、その後、出席者との間でモデル論の今後の可能性についての活発な議論が行われた。またシンポジウムには、ベイズ主義統計学者マクリン謙一郎(テンプル大学)も招へいし、フィクション説とベイズ主義との関係について講演を行ってもらった。両者の接点をヒントとして、特にベイズ主義に関して、統計モデルと科学モデルの間に一定の共通点が見られることを確認した。
さらに、科学モデル論を教育に応用するための準備として、この科学哲学シンポジウムに加え、フリッグ、松王、そしてアーティスト平川紀道が登壇したサイエンスカフェ「アートと科学哲学からの想像力をめぐる対話」を実施した。
これらに加え、松王は昨年度実施した価値判断研究の成果の一部を論文として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定したとおり、科学哲学者Roman Frigg、統計学者Kenichiro McAlinnを招いて科学哲学のシンポジウムならびにサイエンスカフェを実施することができ、科学哲学的課題である「科学モデルとは何か」に対して、統計的視点を交えて深い考察が行えたこと。ならびに、一般聴衆を対象として「科学とアートの接点」から科学モデルとは何かについて考える機会が提供でき、科学モデル論を教育に応用するための重要な足がかりが得られたこと。

今後の研究の推進方策

まずは、科学哲学的主題のうち最重要主題とみなす科学モデル論に関して、これまでの研究成果をもとに、7月にブエノスアイレスで開催される科学哲学の世界大会(CLMPST)においてシンポジウムTowards an Integrated View of Scientific Modellingを実施し、科学モデル論の再検討、科学との接点、統計モデルとの関係について討議を行う(発表はすでに受理済み)。加えて、北海道大学CoSTEPの協力を仰ぎ、科学モデルをテーマとした演習講義を実施し、主に大学院生を対象とした、科学哲学の教育的応用プログラムを試作する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] Seismology and Value Judgment Argument: Old and New Problem Posed in the L’Aquila Trial2022

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Matsuo
    • 雑誌名

      Linkage

      巻: 2 ページ: 1-6

    • DOI

      10.50824/linkage.2.0_1

  • [学会発表] Understanding Scientific Representation2022

    • 著者名/発表者名
      Roman Frigg
    • 学会等名
      Symposium on Science and Model
    • 招待講演
  • [学会発表] Bayesianism, Fictionalism, and Predictive Synthesis2022

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro McAlinn
    • 学会等名
      Symposium on Science and Model
    • 招待講演
  • [学会発表] Does Philosophical Discussion about Ecological Modelling Contribute to the Developments of Ecological Studies?2022

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Shimatani
    • 学会等名
      Symposium on Science and Model
    • 招待講演
  • [学会発表] Subjectivity and Scientific Modelling2022

    • 著者名/発表者名
      Ryota Morimoto
    • 学会等名
      Symposium on Science and Model
    • 招待講演
  • [学会発表] he Frequentists Strategies of Model Representations: Its Diversity and Status2022

    • 著者名/発表者名
      Yusaku Ohkubo
    • 学会等名
      Symposium on Science and Model
    • 招待講演
  • [学会・シンポジウム開催] Symposium on Science and Model2022

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公開日: 2023-12-25  

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