発達障害者の感覚特性の評価方法の開発のためには、行動・脳・生理学的データなど複数の指標を用いた研究が必要である。脳要因(脳構造、脳機能)、遺伝子(バソプレシン)のそれぞれの関連性を調べるために知的障害を有さない被験者を対象に、撮影したMRI画像ソフトウェアを用いて解析し、それぞれの脳と遺伝子との関係性について調べた。 98人の健康な成人参加者を対象に磁気共鳴画像法(MRI)と青年/成人感覚プロファイル(AASP)アンケートを用いて感覚処理を評価し、7つの一塩基多型を同定した。 バソプレシン で rs1042615 の A 対立遺伝子保有者は、「感覚過敏」と「感覚回避」のスコアが高いことがわかった。 さらに、3 つの AASP サブスケールのスコアが高いほど、右中心前回、中心傍回、紡錘状回、および両側の下側頭回を含むさまざまな領域の皮質厚さの減少と関連していた。 この研究は、感覚処理の調節および皮質の厚さとの相関におけるVTRの遺伝的変異の潜在的な役割に光を当てており、これは神経発達障害における感覚異常をより深く理解する上で将来的に重要な意味を持つと考えられる。以上の結果に基づいて論文発表2件を行った。
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