研究課題/領域番号 |
20H01767
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大西 将史 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (20568498)
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研究分担者 |
廣澤 愛子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (10345936)
岸 俊行 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (10454084)
杉山 晋平 天理大学, 人間学部, 准教授 (30611769)
金澤 ますみ 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (80581058)
大西 薫 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80616532)
中島 俊思 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (90568495)
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 准教授 (20572283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マルトリートメント / 教育虐待 / 教育ネグレクト / 保護者 / メカニズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,子どもとその保護者に焦点を当て,現代日本社会におけるエデュケーショナル・マルトリートメント(EM)の危険因子及び保護因子の同定を行うことを通して,EMの生起・維持メカニズムの解明を行うことである。 3年目である2022年度は,フェーズ2の検討課題として,「日本におけるEMの関連要因の抽出及びEM・保護者の類型化(令和3~4年度:臨床・質的アプローチチーム)」を行った。さらに,フェーズ4. 保護者によるEMの予防啓発活動の実施(令和5年度:研究組織全メンバー)についても,前倒しで実施した。 研究実績としては,フェーズ2では,子どもの教育に関わる様々な専門家5名へのインタビュー調査を行った。これまでに得たデータと合わせて,学業領域のエデュケーショナル・マルトリートメントとして十分な情報が得られた9名のインタビューデータから13事例を分析対象とした質的分析を行った。その結果,(1)保護者の子どもとの関わりの特徴,(2)保護者によるEMによって子どもに生じた影響,(3)保護者によるEMの生起・維持に関与すると考えられるリスク要因,(4)保護者によるEMの消失・改善に寄与すると考えられる要因,(5)保護者によるEMの生起・維持及び消失・改善に関与すると考えられる状況要因,についてカテゴリー抽出を行い,整理して論文にまとめた。また,論文にまとめた内容について学会でポスター発表及びラウンドテーブル・自主企画シンポジウムを行い,研究協力者となる専門家とつながりインタビュー調査を行うことができた。フェーズ4のEMの予防啓発活動については,研究代表者の所属する大学の公開講座として1回実施し,合計50名の参加者を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初研究計画では,フェーズ3の研究として,EMの生起・維持に関与するリスク要因及び消失・改善要因について,量的データに基づく検討を実施する計画であった。しかし,研究を行う中で,当初の想定よりもEM概念が複雑であることが明らかになってきた。また,エデュケーショナル・マルトリートメントには学業,スポーツ・芸術,生活スキルの領域があり,それぞれの領域に共通する面と異なる面があることも質的研究を通して分かってきており,すべてを一緒に論じることには問題があることが分かってきた。そのため,フェーズ3の量的検討の前に,これら3領域のインタビューデータに対する質的な分析を継続し,概念の整理をさらに丁寧に行う必要が出てきた。そのため,進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
フェーズ2「日本におけるEMの関連要因の抽出及びEM・保護者の類型化(R3-4年度」について継続実施していく。具体的には,心理臨床・社会福祉・教育・医療の各現場における専門家に対するインタビュー調査を引き続き実施し,具体的な事例の詳細な検討を行っていく。対象者はスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー,児童相談所心理士,養護教諭,医師を想定している。そして,これらの成果を踏まえてフェーズ3の検討課題を実施していくとともに,当初想定していなかったEM概念の領域による異同の検討について行っていく。また,昨年度に引き続き,フェーズ4のEMの予防啓発活動についても前倒しで実施していく。
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