心理学研究(坂本班)では以下の研究を行った。 1)令和2年度から開始した縦断調査(第1シリーズ)を継続した。この調査では、令和3年3月に就職先内定の大学4年生に1回目調査を行い、対人過敏傾向・自己優先志向尺度を含む質問を実施した。同年5-7月にかけて1ヶ月おきに3回調査を実施し(2-4回目)適応状態を測定した。また令和4年および5年の3月にも同様の調査を実施した(5、6回目)。 2)同様に、1年遅れで第2シリーズの縦断調査を行った。つまり5-7月にかけて1ヶ月おきに3回調査を実施し(2-4回目)、令和5年3月に5回目の調査を実施した。 3)第1シリーズの回答者の一部にリモートによる面接を行った(令和4年4-5月)。面接記録の逐語訳をデータとし、グランテッド・セオリー・アプローチによる質的分析を行った。 4)精神医学研究(加藤班)との共同研究を実施した。コロナ禍で対人接触が制限されていることから、現在無職となっている人が外出する機会がなく、長期のひきこもりに移行する可能性があり、そこに個人差として対人過敏傾向・自己優先志向が関わる可能性もあることから、令和3年度の3月から始めたインターネット調査を行った。令和4年度はこの調査の3ヶ月および6ヶ月後の追跡調査を行い、対人過敏傾向・自己優先志向尺度および、過去1ヵ月間のひきこもり状態を測定する尺度等を実施した。 精神医学研究(加藤班)では、インターネットを利用した成人を対象とした調査により、新型コロナウイルス感染症の流行により、令和4年6月と12月の2つの時点でのデータ解析の比較により、流行前には週4日以上外出していた方のうち約3割が週3日以下の外出になり、ひきこもり傾向が強まったことを明らかにした。他方、九州大学病院の専門外来では令和3年に引き続き、うつ病患者および健常者から各種抑うつ指標に加えて採血を行い、一般生化学検査等を実施した。
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