研究課題/領域番号 |
20H01777
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
山崎 修道 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 主席研究員 (10447401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 思春期 / メンタルヘルス / 母子手帳 / 初期発達 / 精神病症状体験 |
研究実績の概要 |
母子手帳は,我が国の妊婦の98%以上が保持し,妊娠初期から乳幼児期までの発達情報を詳細に記録できる強力な母子保健ツールだが,母子手帳の記録情報から思春期のメンタルヘルスを予測する研究は皆無である.本研究では,大規模都市型出生コホート追跡研究(東京ティーンコホート)より取得した母子手帳記録情報と思春期メンタルヘルスに関する広範なデータを用いて,①初期発達の遅れと思春期メンタルヘルスの関係を媒介する要因を明らかにする.加えて②初期発達の遅れと思春期メンタルヘルス双方に関連する発達早期の環境物質を明らかにする.①②より,早期ライフステージにおける精神疾患発症プロセスを明らかにする. 令和2年度は,当初計画に基づいて研究を進め,①初期発達の遅れと思春期PLEsの媒介モデルを検証するため,子のいじめ被害・解離症状について,東京ティーンコホート調査4時点縦断データベース(初期発達→10歳→12歳→14歳)より関連指標の抽出を行い,解析データセットを確定した.現在,初期発達の遅れと思春期PLEsの発生を媒介する要因の候補として,いじめ被害体験・解離症状を媒介要因とするモデルを構築し,共分散構造分析を用いて検証を進めている.これに関連して,媒介要因の候補として,A:ソーシャルサポートと孤独感,B:自閉スペクトラム傾向といじめ被害,C:思春期における糖化ストレスレベル,D:思春期における筋力発達に関する論文を国際誌に投稿し,現在査読中である.②初期発達の遅れに寄与する周産期・発達早期環境要因の探索のため,東京ティーンコホート調査協力世帯の一部世帯より回収した脱落乳歯に含まれる元素含有量の解析を進めた.合わせて,思春期早期における尿中オキシトシン・コルチゾールの解析を進め,生物学的要因に関するデータを整備した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り,媒介モデル検証のための解析データセットを確定し,分析を進めることが出来ていることから,計画は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,データ解析及び論文化・学会発表を計画に沿って進めていく.
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