研究課題
母子手帳は、我が国の妊婦の98%以上が保持し、妊娠初期から乳幼児期までの発達情報を詳細に記録できる強力な母子保健ツールだが、母子手帳の記録情報から思春期のメンタルヘルスを予測する研究は皆無である。本研究では、大規模都市型出生コホート追跡研究(東京ティーンコホート)より取得した母子手帳記録情報と思春期メンタルヘルスに関する広範なデータを用いて、1)初期発達の遅れと思春期メンタルヘルスの関係を媒介する要因を明らかにする。加えて2)初期発達の遅れと思春期メンタルヘルス双方に関連する発達早期の環境物質を明らかにする。1)2)より、早期ライフステージにおける精神疾患発症プロセスを明らかにする。令和4年度は、当初計画に基づいて研究を進め、1)初期発達から思春期後期までの5時点縦断データ(初期発達→10歳→12歳→14歳→16歳)及びサブサンプル縦断データ(13歳時→14歳時)を用いて、初期発達の遅れと親子間の要因を含めたモデルの検証を行った。昨年度より継続して、思春期精神病症状・自傷行為・抑うつ症状間の因果関係を、ランダム切片クロスラグパネル分析により検証した結果の論文化を完了し、国際誌に投稿・受理された。昨年度より投稿中であった、A:思春期における筋力発達と精神病リスクの関連を糖化ストレスが媒介していることを示した論文、B:思春期の尿中亜鉛濃度が精神病リスクと関連していることを示した論文、C:母子手帳記録情報から思春期の子を持つ母親が体罰を行うリスク、及び思春期児童のADHD傾向を予測できることを示した論文、が国際誌に受理された。2)初期発達の遅れに寄与する周産期・発達早期環境要因の探索のため、東京ティーンコホート調査協力世帯の一部世帯より回収した脱落乳歯及び思春期早期における尿サンプルの解析を引き続き追加継続し、性ホルモン・糖化ストレス等生物学的要因に関する解析を進めた。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画していた通りに、母子手帳データを活用した縦断データ解析の結果を論文化・公表することが出来ており、計画は順調に進展していると言える。
引き続き、データ解析及び論文化・学会発表を計画に沿って進めていく。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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https://researchmap.jp/read0145056/
https://mentalhealth-unit.jp/