研究課題
日常生活において,注意水準は時々刻々と変動する。この持続的注意の機序は未だ解明されていない。そこで,心理課題と脳機能計測 (MRS) を組み合わせて,持続的注意に対する神経代謝物の影響を検討した。2021年度に開発した視聴覚の持続的注意課題を用いて、その成績感度 (d-prime) を指標とした。あわせて、MRSによって前頭前野 (prefrontal cortex) におけるグルタミン酸とギャバの濃度を測定した。その結果、左記の神経代謝物は視聴覚課題の成績感度と相関していた。したがって,興奮と抑制の神経バランスが持続的注意の変動に関与していると考えられる。1)視聴覚の持続的注意: 認知的な負荷は視覚課題よりも聴覚課題のほうが高かった。しかし、両者の成績感度には正の相関があり、感覚モダリティーを超えた持続的注意の共通原理の存在が示唆された。2)持続的注意と神経代謝物: 左半球の前頭前野におけるグルタミン酸は視覚課題、ギャバは聴覚課題の成績感度と関係していた。しかし、楔前部 (precuneus) における神経代謝物の濃度と持続的注意の成績感度との間には有意な相関が認められなかった。したがって、前頭前野での神経伝達物質レベルの働きが持続的注意の神経基盤の根底にあるのかもしれない。また、課題難易度によって神経代謝物の関与の程度が異なる可能性がある。3)アウトリーチ活動: 学術雑誌 ”Scientific Reports” から Collection Guest Editor として招聘され、本研究に関連する特集号「視覚的注意」を編纂した。大学生や非専門家を対象とした講演会1件をおこなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
Scientific Reports
巻: 14 ページ: 3480
10.1038/s41598-024-54013-z
Cerebral Cortex
巻: 33 ページ: 10441-10452
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https://hk-lab.github.io/
https://www.nature.com/collections/fddachcihb