研究課題/領域番号 |
20H01836
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中川 賢一 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (90217670)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 量子シミュレーション / リュードベリ原子 / 量子計算 / 冷却原子 / 量子もつれ |
研究実績の概要 |
本研究はRydberg原子を用いた量子シミュレーターを基にアナログ量子計算を行うためのプラットフォームとなるプログラマブルな量子シミュレーターを開発することが目的である。令和2年度のおいては、今まで開発したマイクロ光トラップアレー中のRydberg状態のRb原子を用いた量子シミュレーターで問題となっていた短いコヒーレント相互作用時間の改善に取り組んだ。50個以上の原子の量子シミュレーションを実現するためには現在の量子シミュレーターの数マイクロ秒の相互作用時間では足りず、これを10マイクロ秒以上に長くする必要がある。このため、Rb原子をRydberg状態へ二光子吸収で励起する方法を見直し、寿命が長い6P3/2状態を中間準位として励起するための波長420nmと1013nmの半導体レーザーを新たに開発した。波長420nmの半導体レーザーはRb原子の5S-6P遷移に変調移行分光法を用いて周波数を安定化した。さらにこのレーザー波長を基準としてトランスファー共振器の共振器長を安定化し、波長1013nmの半導体レーザーをこのトランスファー共振器に安定化することにより、両方のレーザーの周波数安定化を実現することが可能になる。次にマイクロ光トラップアレー中に無欠損の50個以上の原子アレーを実現するため、従来より高速で位相パターンの更新が可能な空間位相変調器を導入して原子を高速に並び替える技術を開発する準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の前半は、コロナ禍により大学の入構が制限されたため、研究の進行が遅れてしまったが、後半は入構制限が緩和され、当初予定していた研究計画よりも多少遅れはあるがおおむね予定通り研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度も引き続きコロナ禍が続くことが予想され、当初の計画より研究の進展が遅れる可能性があるため、その場合には研究計画を多少変更して対処する予定である。
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