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2021 年度 実績報告書

泡沫の動的性質の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H01874
研究機関東京都立大学

研究代表者

栗田 玲  東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20579908)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード泡沫 / ジャミング / ソフトマター / 非平衡
研究実績の概要

泡沫とは液体中に気泡が内包されている状態のことをいい,構成成分は液体と気体という流体だけであるにも関わらず,弾性的な性質を持ち形状を保つことがで きる.このような系をジャミング系という.ジャミング系は泡沫以外にもエマルジョンや粉体,高分子ゲルなどが含まれ,食品や洗剤,化粧品,消化剤,製造過 程から生体細胞内まで様々な場面でみることができる.その中でも泡沫は液体分率に依存して多彩な性質を有する.液体分率が小さい時は強い吸水性や吸油性を 示し,液体分率が大きくなると流動性を示すようになる.ミクロな内部構造変化がマクロの変形や弾性に影響する複雑な現象のため,泡沫の動的性質もよくわ かっていない.このように泡沫の有用性にも関わらず,多くの現象の物理的起源は未解明なままであった. 本研究課題では,泡沫内部の構造緩和について詳細に調べた.泡沫に液体が注入されると,構造緩和が次々に雪崩的に起こることが知られている.この雪崩的構造緩和が液体分率によって異なることを見出した.液体分率が低い時は,T1イベントとよばれる構造緩和が順々に起こる逐次的再配置となり,液体分率が高い時は,気泡が同時に再配置する協同的再配置が起こることがわかった.さらに,この雪崩的再配置のモードは,局所的な気泡の運動と連動していることが見出され,再配置の仕方は異なるものの,そのエネルギー的な起源については同じであることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では,泡沫のマクロな変形や緩和を対象に研究を行なってきている。泡沫の内部構造緩和は,泡沫の形状の安定性と関係しており,泡沫の産業利用時において重要な要素である.さらに,産業応用だけでなく,内部構造緩和は泡沫だけでなく,エマルジョンやコロイドなどの密に詰まったジャミング系一般と関係があり,このような系にとって重要な知見を与えたと考えている.このようなインパクトの大きな成果を上げることが出来たため,おおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

本研究課題では,これまで明らかにしてきた動的挙動だけでなく,泡沫内部への油の拡散,塗り拡げについても調べていく.これらについてもすでに予備的には 実験が進んでおり,この予備実験から得られている内容を定量的に調べていく予定である.これらの成果について,学術論文で発表し,また,プレスリリースす ることで社会への還元を考えている.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] Origin of nonlinear force distributions in a composite system2022

    • 著者名/発表者名
      Tamura Yuto、Tani Marie、Kurita Rei
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 632

    • DOI

      10.1038/s41598-021-04693-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Pinch-off from a foam droplet in a Hele-Shaw cell2022

    • 著者名/発表者名
      Tani Marie、Kurita Rei
    • 雑誌名

      Soft Matter

      巻: 18 ページ: 2137~2142

    • DOI

      10.1039/D1SM01268A

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Key connection between gravitational instability in physical gels and granular media2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Kazuya U.、Kurita Rei
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 6290

    • DOI

      10.1038/s41598-022-10045-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hidden linear defects in surfactant onions revealed by coalescence into lamellar layers2021

    • 著者名/発表者名
      Izaki Yoshimasa、Kurita Rei、Tanaka Hajime
    • 雑誌名

      Physical Review Research

      巻: 3 ページ: 043094

    • DOI

      10.1103/PhysRevResearch.3.043094

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Liquid pinch-off from a foam droplet confined in a Hele-Shaw cell2021

    • 著者名/発表者名
      Marie Tani and Rei Kurita
    • 学会等名
      11th Liquid Matter Conference 2020/2021
    • 国際学会
  • [学会発表] The mechanism of collective bubble collapse in a foam2021

    • 著者名/発表者名
      Naoya Yanagisawa, Marie Tani and Rei Kurita
    • 学会等名
      11th Liquid Matter Conference 2020/2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Observation of inhomogeneous concentration field in a convection of a binary mixture2021

    • 著者名/発表者名
      Ryoko Shinohara, Kazuya U. Kobayashi, Marie Tani and Rei Kurita
    • 学会等名
      11th Liquid Matter Conference 2020/2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Pattern formation during phase separation by directional quenching in 3dimensional system2021

    • 著者名/発表者名
      Rikuya Ishikawa, Marie Tani and Rei Kurita
    • 学会等名
      11th Liquid Matter Conference 2020/2021
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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