本研究ではコロイド粒子の絡み合い形状を系統的に設計し、力学的非平衡下において、絡み合い相互作用が粒子分散系の静的・動的空間構造にどう影響するか、それによりどのような力学物性が現れるのかを解明することを目的としている。 1. 構造基板の作成:レオメータなどでずり流動場を印加する場合、粒子と基板との積極的な相互作用を誘起する必要がある。また、能動的に運動する粒子は、壁などの固定物と特徴的な相互作用を示すことが知られている。そこでフォトリソグラフィを用い、周期的な柱状の立体構造を持つガラス基板の作成を試みた。柱の高さや太さといった立体構造の特徴、フォトレジストの種類や露光時間、処理温度といった作成条件を工夫し、直径4um程度、高さ15um程度の円柱状の周期構造等の形成条件を確立できた。 2. 形状に依存した能動粒子の特徴的運動:フォトリソグラフィで作成した粒子に対し、部分的に金属薄膜を形成し、水溶液中で交流電場を印加することにより、能動的に運動する異方形状微粒子を作成した。大きな形状異方性を持つ棒状粒子を用い、上記の構造基板上での運動を調べたところ、異方形状と運動性により自ら小さな構造(柱)に捕捉されること、その状態で示す自励振動が、電場強度に依存することを見出した。また、マッチ棒のように片側が太い棒状粒子、楕円板形状の粒子の運動についても調べ、前者の太い側が速くなるカイラル運動、後者の電場強度により2段階で立ち上がる運動転移など、形状に依存した特徴的な運動を示すことを見出した。
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