研究課題/領域番号 |
20H01881
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 太智 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (30726401)
|
研究分担者 |
松清 修一 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (00380709)
山崎 了 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40420509)
有川 安信 大阪大学, レーザー科学研究所, 講師 (90624255)
竹崎 太智 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (90824326)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 磁気リコネクション / レーザー生成プラズマ / 高出力レーザー / レーザートムソン散乱計測 / プロトンバックライト計測 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2回の大型レーザー実験を行い、2方向のレーザートムソン散乱計測からイオンの速度分布関数の変化を検出し、リコネクションによる温度・速度変化を示唆する結果を得た。また、磁場に垂直方向の計測から、電子の分布関数に関する情報の取得にも成功した。つまり、リコネクションによるアウトフローと反平行磁場が生成する電流シートを示唆する結果が得られた。これらを詳細に解析することで、リコネクション前の磁場強度、電流シートの生成と消失、リコネクションによるエネルギー変換、つまり磁場エネルギーから電子・イオンへのエネルギー変換割合と配分を議論できる。これらの結果は現在論文投稿準備中である。 また、高強度レーザーによって生成した陽子ビームを用いて、リコネクション領域の電場・磁場構造計測に成功した。実験からは磁場によって偏向された陽子の空間分布が得られるが、ここから磁場構造を逆算する手法が確立されていない。この解析には磁場に偏向された画像データと、偏向されていない画像データの両方が必要であるが、本研究のような大型レーザー実験では、両方のデータを同時に取得することができない。そこで、エネルギー分解した複数の偏向画像データから磁場構造を逆算する手法を開発し、現在、検証中である。この手法を用いて磁場のつなぎ替わり、リコネクション率の定量的評価が可能になると考えられる。この結果は、今年度内には論文投稿する準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー生成プラズマを用いた磁気リコネクションの可視化、詳細な時間・空間分解プラズマ計測に成功し、実験データが順調に取得できている。また、データ数はまだ十分ではないが、プロトンバックライト手法を用いた磁場計測にも成功し、得られたプロトンの空間分布から磁場を逆算する手法も開発した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で必要であった、プラズマの時間・空間分解計測、プロトンバックライト法を用いた磁場計測に成功し、データを取得する手法と解析手法についてほぼ確立することができた。今後は、得られた実験データと数値シミューレーションを進め、リコネクションの重要なパラメータであるリコネクション率やエネルギー変換について議論し、論文化する予定である。また、本研究で行った実験に関連した数値シミュレーションを行い、計測された電子・イオンの速度分布関数の変化や速度変化の妥当性を評価する。
|