研究課題/領域番号 |
20H01886
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
城崎 知至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10397680)
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研究分担者 |
長友 英夫 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (10283813)
藤岡 慎介 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (40372635)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高速点火レーザー核融合 / 相対論電子ビーム / コア加熱 / 抵抗性磁場 |
研究実績の概要 |
高密度圧縮した燃料コアプラズマを相対論的高エネルギー電子ビーム(REB)で核融合点火温度まで加熱する高速点火方式レーザー核融合の最大の課題は、大きな発散角を持つREBにより如何に高効率に燃料コアを加熱できるかにある。本研究では、電子ビームをコアまで発散を抑えて誘導する、高速電子ビームガイド法として将来の核融合炉に直接つながりうる抵抗性磁場ガイド法(抵抗率の異なる物質境界に生じる磁場でREBをコアまで誘導する)による高効率コア加熱手法の確立を目的とする。初年度の研究実績を下記に示す。 ① 平板ターゲットによる要素実験を対象とした理論・シミュレーションにより、ガイド材としてNiを選定した。また、レーザー強度依存性を評価し、1e18W/cm2のような低強度と≧1e19W/cm2の高強度でガイディング特性が異なる(適切なガイド材配置が異なる)ことを見出した。 ② 上記事前計算結果をもとにターゲット作成を行い、阪大レーザー研の高強度レーザーLFEXを用いた実験を実施した。低強度条件(1e18W/cm2)では先行実験と同じく、CHを内側にガイド材Niを外側に配した場合にガイド効果が確認された。一方、高強度条件では、ガイド材の配置によらずガイディング効果は確認されなかった。生成高速電子の特性を評価した結果から想定外に生成電子のエネルギーが高いことが原因と特定された。これはLFEXレーザーの主パルス前の低強度プレパルスによるものであり、次年度以降、プレパルス除去用プラズマミラーの導入により対策することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験で用いたLFEXレーザーのプレパルスが、これまでの実験に比べて大きくなった結果、高強度条件で期待されたガイディング結果が得られなかった。このため、初年度に予定していた基礎実験による原理実証の高強度サイドでの結果が得られていない。このため、やや遅れているとの判断とした。また、コロナウィルス感染対策のため、海外渡航が制限されたことで、国際共同研究や国際会議での成果報告ができていない点も進捗の遅れとして判断した。
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今後の研究の推進方策 |
レーザー加速電子の過度な高エネルギー化を防ぐために、プラズマミラーの導入を行い、高強度条件でのガイディング効果実証実験を行う。また、シミュレーションでは、基礎実験解析(ガイド効果のガイド材形状依存性評価)に加え、爆縮体系でのガイド効果評価を統合シミュレーションにより実施する。この結果を踏まえ、最終年度には爆縮体系での加熱効率実証実験を実施する予定である。
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