研究課題
本研究は、大発散角を持つレーザー生成相対論電子ビームを加熱対象物まで誘導する方式として、抵抗率の異なる物質間を高速電子ビームが輸送された際に生じる自己生成磁場を用いた、抵抗性磁場ガイド法の、数値シミュレーションに特性評価と実験による実証に基づいた手法の確立を目的とする。前年度までの基礎実験を想定した数値計算を踏まえ、本年度はコーン付き中実球燃料を用いた統合実験に向けた数値計算を行った。最初に2次元輻射流体コードPINOCOにより爆縮計算を行い、最大圧縮近傍の燃料状態を評価した。次に粒子・流体ハイブリッドコードFIBMETを用いて得られた燃料プロファイルのもとで相対論電子ビーム輸送計算を行った。コーンチップ領域をCHとした場合と、ガイド材としてNiを置いた場合の2ケースに対し、加熱用レーザー強度、パルス長、電子ビーム発散角をパラメータとして輸送計算を行った。基礎実験対象計算の場合と同様に加熱レーザー強度が1018 W/cm2のような低強度の場合は、抵抗性磁場が十分に成長せず、また高速電子エネルギーが低くガイド材内でのエネルギー損失や散乱の影響が大きく、Niガイド材を挿入した場合は爆縮コアへの高速電子の輸送効率が低下した。一方、高強度( ≧1019 W/cm2)の場合は、抵抗性磁場が十分に成長するとともに、電子エネルギーの増加によるガイド材でのエネルギー損失や散乱効果の低減により、NIガイド材挿入により、爆縮コアへの高速電子輸送効率が増加した。発散角40°でレーザー強度1020 W/cm2でパルス長が1psの場合は、ガイド材挿入によるコアへの高速電子輸送効率の増加割合は17%となり、パルス長を10psに延ばすと増加割合は47%となった。これらの結果より、将来の点火実証級や炉級燃料でのコア加熱効率向上に対する抵抗性磁場ガイド法の有用性が示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Plasma and Fusion Research
巻: 18 ページ: 2404061~2404061
10.1585/pfr.18.2404061
https://www.rgdl.net/laserplasmasimulation