研究課題
本研究の目的は,研究代表者が発明した世界初のろう付接合法「先進多段階ろう付接合法(Advanced Multi-Step Brazing: AMSB)」を用いて,酸化物分散強化銅(ODS-Cu),具体的にはGlidCopをヒートシンク材料に,タングステン(W)をアーマー材料とした世界最高性能の核融合炉用ダイバータ受熱機器の設計・製造技術の確立である.2023年度は,2020~2022年度までに得られた機器構造最適化の指針を実際の機器製造にフィードバックさせる学術体系を構築すると同時に,AMSBによる世界最高性能の冷却能力(超高除熱性能)を有するダイバータ受熱機器の製造法の確立を主要な目標とした.超高除熱性能を達成するためには,除熱構造の最適化が必要であった.これについては,従来の円筒型冷却配管構造に変えてODS-Cu製ヒートシンク冷却構造に矩形の冷却流路とV型スタッガードリブを有する「新構造ダイバータ受熱機器」を考案し,AMSBによる同構造の製造に着手した.同構造実現の鍵は,ODS-Cuに予め切削加工を施した矩形の冷却流路をAMSBにより完全リークタイトに封止する技術の開発であった.この場合,接合部の接合代幅が1~3mm程度であり,これまでの接合構造よりも極端に狭い点が技術開発の課題となった.本課題に対しては,狭い接合代であってもステンレス鋼(SUS)もしくはODS-Cu製の蓋構造をAMSBにより完全リークタイトに接合させる技術の開発に成功した,接合部は高い接合面積率を有するだけでなく,その機械的強度は母材のODS-Cuに比較し得るほど高いことが明らかになった.開発した技術を用いて新構造ダイバータ受熱機器試験体を製造し,電子ビーム熱負荷試験を実施した結果,当初の目標であった20 MW/m2を大きく超える30 MW/m2の定常熱負荷に対して安定した除熱性能を確認した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fusion Science and Technology
巻: 79 ページ: 651-661
10.1080/15361055.2023.2176184
ぶれいず (一社)日本溶接協会 ろう部会
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