研究課題/領域番号 |
20H01889
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
菱沼 良光 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00322529)
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研究分担者 |
嶋田 雄介 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20756572)
菊池 章弘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50343877)
小黒 英俊 東海大学, 工学部, 講師 (90567471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Nb3Sn / 核融合 / 高強度化 / 内部強化 / 固溶強化 / 高Jc化 |
研究実績の概要 |
内部補強高強度Nb3Sn線材に資するCu-Sn-In三元系ブロンズ合金組成及びIn供給源としてのCu-In合金組成の最適化の検討のために以下のような研究を進めた。 I) Cu-14wt%Sn-In三元系ブロンズ合金の外周部に高In濃度のCu-In合金を組み込んだ独自のブロンズ母材とNb棒を複合化したNb/Cu-14wt%Sn-In/Cu-In拡散対を作製するための各種合金材を溶製した。Cu-Sn-In三元系合金中のSn濃度を実用線材と同等のSn濃度である14wt%と固定し、In濃度を3wt%、4wt%及び5wt%とした3種類のCu-Sn-In三元系合金を用意した。これらの三元系合金ではIn元素の組成によって異なる微細組織を呈していた。特に、全ての合金塊において、In元素の高濃度化に伴ってCu-Sn金属間化合物(デルタ相)が増加した。デルタ相は高い脆性を有していることから機械加工性を著しく低下させる可能性があり、熱間鍛造によるデルタ相の消失を図った。熱間鍛造によるデルタ相の顕著な微細化が明らかになった。熱間鍛造後の合金塊からJIS-14号試験片を作製し、高温での引張試験を実施した。引張試験の結果、加工性を有するCu-14wt%Sn-3wt%Inという組成を決定した。 II) 種々の高In濃度Cu-In合金塊をCu-Sn-In三元系合金と同様な手法で溶製した。In元素の組成はCuに対して15wt%程度の固溶限を有しているため、5wt%、10wt%及び15wt%の3種類とした。 III) Cu-14wt%Sn-3wt%In三元系合金と高In濃度Cu-In合金を複合化したブロンズ母材の設計を進めた。 IV) 先に試作したCu-Sn-Zn及びCu-Sn-In合金母材としたNb3Sn線材の臨界電流特性における圧縮応力依存性について東海大及び東北大との共同研究にて評価し、国際会議等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、Cu-14wt%Sn-In三元系ブロンズ合金の外周部に高In濃度のCu-In合金を組み込んだ独自のブロンズ母材の機械加工性、微細組織及びNb3Sn相の生成機構が重要な核心部であり、カギとなるCu-14wt%Sn-In三元系ブロンズ合金のIn組成を高温引張試験にて確定した。令和3年度に計画しているNb/Cu-14wt%Sn-3wt%In/Cu-In拡散対の設計及び作製にフィードバックする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度における主要な計画は、種々のNb/Cu-14wt%Sn-3wt%In/Cu-In拡散対の試作及びNb3Sn相の生成機構を明らかにすることである。そのために、現況のコロナによる影響を踏まえながら線材試作に供する機械加工機器の整備及び加工スケジュ-ルの管理は重要である。線材加工に資する機器は物質・材料研究機構の機器を利用するために、研究分担者との緊密な連携を図る。
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