本研究の目的は、KAGRAが国際重力波検出器ネットワークに参加するにあたり、背景重力波のデータ解析の体制を整えることにある。スペクトルの形状・非等方性・偏光といった特徴量に着目し、背景重力波の検出だけでなく、その起源を特定することができるような体制を作ることである。 2021年度は6月からデータ解析に取り組む研究員が着任し、データ解析コードの開発に取り組んだ。特に、検出が近いと期待されている連星ブラックホール起源の背景重力波に特徴的に現れる「非ガウス性」に着目し、非ガウス性の情報を引き出すのに最適なデータ解析コードを開発する方針を固めた。データ解析コードはほぼ完成し、簡単な模擬データを使ったテストも済ませるところまで進めることができた。次年度には成果を論文や学会発表の形で発信していく予定である。 さらに、関連する理論研究として、初期宇宙起源の背景重力波に現れる非等方性を観測することで、初期宇宙の様々な現象をテストできる可能性があることを示した論文が、Physical Review D誌に掲載された。
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