研究課題/領域番号 |
20H01899
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒柳 幸子 名古屋大学, 理学研究科, 招へい教員 (60456639)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 重力波 / データ解析 / 宇宙物理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、KAGRAが国際重力波検出器ネットワークに参加するにあたり、背景重力波のデータ解析の体制を整えることにある。スペクトルの形状・非等方性・偏光といった特徴量に着目し、背景重力波の検出だけでなく、その起源を特定することができるような体制を作る。 2022年度は科研費にて雇用した研究員と共同で、連星ブラックホール起源の背景重力波に特徴的に現れる「非ガウス性」を検出するのに特化したデータ解析コードの開発に取り組んだ。機械学習を導入することで従来より100万倍早い計算スピードで解析を行う画期的なコードを開発することができた。さらに模擬データを使ってコードの性能を評価した論文を執筆し、Physical Review D誌に掲載された。 また、関連する理論研究として、非ガウス性の情報を用いてブラックホールの起源が天体起源であるか初期宇宙起源であるかを調べることができる可能性があることを示した論文が、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
背景重力波のデータ解析コードを完成することができ、成果を論文としてまとめることができた。さらに関連する理論研究を展開して、データ解析で得られた情報からブラックホールの形成史に示唆を得られることを示すことができた。背景重力波の非ガウス性の情報を新しい物理を引き出すのに役立てるための研究を、データ解析と理論の両面で確立することができ、研究は当初の計画以上に充実した内容で進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、2022年度に得られた成果を論文や学会発表として発信していく。その後は、擬似データシミュレーションやデータ解析コードを改良し、より現実に近いデータをより効率良く解析できるコードの開発を目指す。 また、背景重力波のスペクトル形状からその起源に関する情報を引き出すための研究に取り組む。
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