研究課題
本年度は、10MeV単色中性子ビームによる炭素の中性子非弾性散乱測定を目標に、10MeV単色中性子ビームの大強度化、中性子飛行時間測定のためのFlashADCによるデーター収集システムの開発、および炭素の中性子非弾性散乱測定の最初の実験を実施した。10MeV単色中性子ビームの大強度化については1次ビームである13Cビーム強度を現行のイオン源・サイクロトロン等時性磁場を極限まで調整することで、600pnAへ増強し、目標である1×10^8 個/sr/secを達成することに成功した。また、600pnAのビームにおいても、水素ガス標的温度27.5℃で安定して中性子ビームが得られることを確認した。FlashADCによる中性子飛行時間(TOF)測定では、概ね問題なくTOFスペクトルを得ることができたが、FlashADCのサンプリングレートである2ns毎の構造を完全には除去することができなかった。この構造を完全に除去するにはTOFを取得するための信号の形状をより工夫する必要があると考えられる。本年度後半では炭素の中性子非弾性散乱測定の最初の実験を実施した。シミュレーション計算により最適な大きさの鉄のコリメーターを製作し、コリメートした中性子ビームをグラファイト標的に照射し、散乱中性子を液体シンチレーターにより測定した。ガンマ線のバックグラウンドが多く、データー収集効率が極端に悪くなるため、ビーム強度を最大の10分の1にし、同時に測定する検出器の角度を37.5°、47.5°の2点にして測定を行った。その結果、10MeV単色中性子ビームによる炭素との弾性散乱を測定することに成功した。しかしながら、ビーム強度を10分の1で測定したため統計量が足らず、今回の測定では非弾性散乱の測定までには至らなかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
EPJ Web of Conferences
巻: 260 ページ: 11010~11010
10.1051/epjconf/202226011010