研究課題/領域番号 |
20H01914
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渡邊 圭 信州大学, 繊維学部, 特任助教 (30737763)
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研究分担者 |
橋本 義徳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 主任技師 (10391749)
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10534810)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナノファイバー / ポリイミド / 不織布 |
研究実績の概要 |
本研究では、最先端繊維ナノファイバー(NF)とポリイミド(PI)のグラファイト化技術を応用することで、従来技術では到達できない「膜厚5μm、直径φ5mm」超低物質量グラファイトストローを実現しする。この超低物質量グラファイトストローを検出器に用いることで、ミューオン電子転換過程(μN→eN)探索(COMET)実験での未踏領域である感度[10-18]の実現が可能となり、世界初のμ-e 転換事象発見の可能性を飛躍的に高め、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)実験で得られる結果に別の切り口から得られる知見を組み合わせ、素粒子標準理論を越える新しい物理描象により詳細に迫ることを可能にする。 本年度は、NFでストロー形状を作製するために必要な設計を行った。特にストロー作製時に必要な芯材はNFの付着性と離型性のバランスが重要であり、セラミックス、樹脂、金属の各種材料を評価し最適化した。また、カーボンナノチューブ(CNT)及びグラフェンをPINFの前駆体であるPAA溶液に分散することで、極限まで強度向上を目指した。現状の試験においてはCNT等の導電性物質の分散濃度、溶液の電気伝導性の影響により、NF中にビーズが発生しやすくなり強度が低下する傾向が見られたため、次年度以降分散溶液及びES条件の最適化について研究を進める。また、バックアッププランとしてフィルムからストローを作製する方法についてロータリーカムを用いる巻き溶着装置の設計を行った。フィルムへの導電性付与については無電解メッキ法の可能性を探索した。さらに、本ストローサンプルはこれまでのストローに比べ肉薄で直径が小さいため専用の検出器を設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で、外部機関での評価、部材手配、設計機器の納期遅れが発生したため、繰越が発生した。一方で、内部での試作評価は概ね予定通り進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
グラファイト化サンプルの作製にあたっては、今後も外部の協力機関の有する設備を利用した評価を進めることになるが、その精度を高めるため、内部での試作評価の条件数を予定より細分化し、外部での評価試験へ移行する際の知見を蓄えるための実験の比重を高めていく。
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