研究課題
本研究では、分散整合二回散乱法によって生成したスピン整列RIビームを用いて、特異な核構造が示唆されているエキゾチック核の励起状態の核電磁モーメント測定を行い、特異核構造発現メカニズムを微視的観点から明らかにする。測定対象は99Zrの電気四重極モーメントおよび130Sn、132Snの磁気双極子モーメントである。2022年度に理化学研究所RIBFにおいて、99Zrの核モーメント測定実験を行った。実験に向けて実験セットアップの作製、二次標的の作製、データ取得系の開発を行った。ただし、購入を予定していたORTEC製の平板型Ge検出器が2台、業者のミスにより製作が遅れ納入されず、性能的にかなり劣る旧型検出器を用いて実験に臨まざるを得なかった。当該実験においては分散整合二回散乱法を用いて、一次ビーム238Uから100Zrを経由し、二次標的における一中性子抜き取り反応によって99Zrビームを生成した。電気四重極モーメント測定に先駆けて、まずは99Zrを銅標的に停止させ、外部静磁場印加下での時間微分型摂動核分布(TDPAD)法によるスピン整列度の確認および磁気双極子モーメントの再測定を行った。解析の結果、二回散乱分散整合の適用によって、およそ10%のスピン整列度が達成されていることが判明した。引き続き核モーメント導出に向けて実験データの解析を行っている。一方、2023年度に予定されていた130Snの核モーメント測定実験は加速器施設の装置故障により延期となってしまった。2024年度に実施される見込みであるため、それに向けた検討を行っている。
3: やや遅れている
99Zrの核モーメント測定実験に関しては、業者のミスにより想定していた検出器の不調達という予想外の事態はあったものの、RIBFにおける実験はなんとか遂行することができ、およそ10%のスピン整列度を得ることができたことが判明した。一方で、130Snの核モーメント測定実験に関しては、本来2023年度に行われる予定だったのが、加速器施設の装置故障により延期されることになったため。
得られた99Zrの核モーメント測定の実験データ解析を進める予定である。得られたTDPADスペクトルから磁気双極子モーメントの決定をし、最終的に電気四重極モーメントの決定へとつなげたい。また、2024年度後期に130Snの磁気双極子モーメント測定実験が行われる予定であるため、それに向けて、実験セットアップのアレンジ、二次標的の作製などを行う予定である。
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Interactions
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Scientific Reports
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